ID番号 | : | 03751 |
事件名 | : | 解雇無効確認等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | まこと交通事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 心臓疾患のため胸部皮下にペースメーカーを装着したタクシー運転手に対して、「身体の故障により業務に耐えられないとき」を理由としてなされた解雇の効力が争われた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項3号 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / 解雇事由 / 病気 |
裁判年月日 | : | 1986年5月23日 |
裁判所名 | : | 札幌地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和59年 (ワ) 882 |
裁判結果 | : | 一部認容 |
出典 | : | 時報1200号51頁/タイムズ607号77頁/労働判例476号18頁/労経速報1264号3頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔解雇-解雇事由-病気〕 右認定事実によれば、本件解雇時における原告の心臓機能の障害は、刺激伝導路に限られた機能障害であり、本件ペースメーカーの装着により、右機能障害による心臓機能の欠陥は健常者とほぼ異ならない程度に補われたものというべきである。一方、弁論の全趣旨によれば、被告会社におけるタクシー乗務員としての業務は相当な体力を要するものであることが認められるが、本件ペースメーカーを装着した原告が右業務に耐え得ないとする十分な証拠はない。 してみると、原告の本件解雇当時における心臓機能障害が被告会社の就業規則三四条一項にいう「身体の故障により業務に耐えられない」場合に該当すると認めるのは困難である。 (中略) 右認定事実によれば、被告は、原告が完全房室ブロックにより心臓ペースメーカーを植え込んだこと及び右症状により障害度一級の身体障害者としての認定を受けたことから、それ以上の調査、検討を何らすることなく、原告の心臓機能障害が被告会社の就業規則三四条一項に定める解雇事由に該当すると速断し、本件解雇を行ったものであると認められる。 3 右1及び2に認定、判断したところによれば、本件解雇は、正当な理由に基づかないものであり、解雇権を濫用したものとして、無効といわざるを得ない。 |