ID番号 | : | 03760 |
事件名 | : | 優先破産債権確定請求控訴事件 |
いわゆる事件名 | : | うえの屋事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 原則として一台の車両を保有して小荷物を運搬することを業とする者らが呉服、婚礼家具等の販売会社との間で結んだ家具等の配送業務に従事することを内容とする契約が、雇用契約にあたるとして右会社の破産管財人に対してその給料として優先破産債権を有することの確定を求めた事件につき、右契約は請負契約であるとした事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法9条 民法632条 |
体系項目 | : | 労基法の基本原則(民事) / 労働者 / 労働者の概念 労基法の基本原則(民事) / 労働者 / 委任・請負と労働契約 |
裁判年月日 | : | 1986年7月28日 |
裁判所名 | : | 名古屋高金沢支 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和61年 (ネ) 31 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労働民例集37巻4~5号328頁/タイムズ620号207頁 |
審級関係 | : | 一審/富山地/昭61. 1.30/昭和59年(ワ)77号 |
評釈論文 | : | 古曳正夫・新倒産判例百選〔別冊ジュリスト106〕226~227頁1990年2月 |
判決理由 | : | 〔労基法の基本原則-労働者-労働者の概念〕 〔労基法の基本原則-労働者-委任・請負と労働契約〕 4 ところで当該契約が雇用契約なりや否やは契約の形式のみによらず、実質的な労務供給の実態をも総合し、それがいわゆる使用従属関係に当るか否かを基準として判断するのが相当であると解されるところ、前認定事実によると、控訴人らはいずれも軽貨物自動車を保有して貨物運送事業を営む事業者であり、破産会社からの依頼に対しても諾否の自由を有し、また労務の代替性が認められ、仕事開始の時間の指定はあるが、依頼された仕事が終れば何時でも帰宅できるのであって、拘束時間の指定はなく、報酬も遠距離運送の場合は定額制で明らかに請負代金的な定め方をしていること、その他前認定にかかる実態に照らして判断すると、控訴人らの本件労務提供は、破産会社の指揮監督下での労働とみることはできず、むしろ指定された仕事の完成を目的とする請負契約であったと認めるのが相当である。 (中略) 控訴人らは、控訴人らが破産会社の仕事に従事した日は破産会社から帰宅を許可されるまで拘束され、その間他の仕事をすることは許されず、実際に他の仕事をしなかったから時間単位の雇用契約が成立していた旨主張する。 しかし、依頼された仕事が終れば帰宅できたのであって終業時間の指定がなかったことは前認定のとおりであり、控訴人らが破産会社の配送の仕事に従事した時間内に他の仕事をすることができないのは、破産会社の仕事をした時間についてのみ料金が支払われるという時間制の定めによるものというべきであり、右事実をもって控訴人らと破産会社との間に時間単位の雇用関係が成立していたものと認めることはできない。 |