全 情 報

ID番号 03761
事件名 残業手当金請求事件
いわゆる事件名 レストラン「ビュッフェ」事件
争点
事案概要  レストランの店長たる地位にあった者が、労基法四一条二号にいわゆる管理監督者ではなかったとして残業時間につき残業手当を請求した事例。
参照法条 労働基準法41条2号
体系項目 労働時間(民事) / 労働時間・休憩・休日の適用除外 / 管理監督者
裁判年月日 1986年7月30日
裁判所名 大阪地
裁判形式 判決
事件番号 昭和60年 (ワ) 2243 
裁判結果 認容
出典 労働判例481号51頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔労働時間-労働時間・休憩・休日の適用除外-管理監督者〕
 1 労働基準法四一条二号のいわゆる監督若しくは管理の地位にある者とは、労働時間、休憩及び休日に関する同法の規制を超えて活動しなければならない企業経営上の必要性が認められる者を指すから、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的立場にあり、出勤・退勤等について自由裁量の権限を有し、厳格な制限を受けない者をいうものと解すべきであり、単に局長、部長、工場長等といった名称にとらわれることなく、その者の労働の実態に則して判断すべきものである。
 2 そこで、これを本件についてみるに、(証拠略)、原告(第一、二回)及び被告の各本人尋問の結果を総合すれば、原告は、本件店舗の店長として、本件店舗で勤務しているコック、ウエイター等の従業員六、七名程度を統轄し、右ウエイターの採用にも一部関与したことがあり、材料の仕入れ、店の売上金の管理等を任せられ、店長手当として月額金二万円ないし三万円の支給を受けていたことが認められるけれども(右事実のうち、原告が本件店舗の店長たる地位にあったこと、店長手当の支給を受けていたことは当事者間に争いがない。)、他方、原告は、本件店舗の営業時間である午前一一時から午後一〇時までは完全に拘束されていて出退勤の自由はなく、むしろ、タイムレコーダーにより出退勤の時間を管理されており、仕事の内容も、店長としての右のような職務にとどまらず、コックはもとよりウエイター、レジ係、掃除等の全般に及んでおり、原告が採用したウエイターの賃金等の労働条件は、最終的に被告が決定したことが認められるところであり、これら原告の労働の実態を彼此勘案すれば、原告は、本件店舗の経営者である被告と一体的な立場にあるとはいえず、前記「監督若しくは管理の地位にある者」には該らないというべきであるから、被告の抗弁は理由がない。