全 情 報

ID番号 03774
事件名 地位確認等請求事件
いわゆる事件名 インタナショナルフーヅ事件
争点
事案概要  現場たる各店舗を本社とのパイプ役としての一年間の「嘱託委託」契約を締結している者に対する勤務、業績不良を理由に右契約を解約された事案につき、解約権の濫用にあたらず有効とされた事例。
参照法条 労働基準法2条
民法1条3項
体系項目 解雇(民事) / 解雇事由 / 勤務成績不良・勤務態度
裁判年月日 1986年9月26日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 昭和59年 (ワ) 3716 
裁判結果 一部認容、一部棄却
出典 労経速報1270号3頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔解雇-解雇事由-勤務成績不良・勤務態度〕
 以上の事実を基礎に検討するに、本件契約解約に至る経緯をみると、銀座店ではその従業員との間に信頼関係を築くことができず、そのために従業員から店の出入りを禁止するように求められているのであり、その原因は主に入社直後になされた原告の同店従業員に対する配慮に欠けた言動やAの昇給問題に対して原告がとった言動に基因していると認められ、また、青山店では、その言動不一致の行動がオーナーであるB会社に不信感を抱かせたものと認められ、そのために両店ではパイプ役にしろ現業統括管理者にしろ、被告の職務を全く行いえず、しかも本件契約存続のためなされた職務内容の変更も右の事情が基因して遂行しえなかったといえるのであって、これらの事情は、本件契約の解約事由たる勤務・業績不良、及び職務の遂行が出来ないことに該当することは明らかであって、右解約に至る経緯に照らし解約権の濫用にあたるともいえない。
 ところで、原告は、被告には本件契約に関し、職務内容を不明確にし、また原告の職務遂行に関し適切な措置を採らなかったが故に職務遂行をなし得なかった旨主張し、右認定によれば、被告は、原告の職務に期待するものはパイプ役でありながら、「総支配人」の肩書を付していたこと、また、入社直後、C支配人が不正行為を理由に解雇されたことから、原告は被告のスパイであるとの風評がたっていたことなどが認められるが、そもそも原告の職務内容の誤解が被告にのみ基因するものとはいえず、また原告は右認定のとおり、パイプ役にしろ現業統轄管理職にしろ、その職務を行う前提たる信頼関係を築けないままその職務遂行しえなかったのであって右誤解が職務遂行に直接関連するとはいえず、原告がスパイであるとの風評についても、その風評を覆すのは被告よりむしろ原告と従業員との信頼関係というべきであって、このことに被告が何ら措置を採らなかったとしても被告の責に帰すべき事由があるとはいえず、むしろ本件契約の遂行が困難となった理由は、右のとおり原告の言動にあるとみるのが相当であり、被告に本件契約の履行、解約に関し責めに帰すべき事由があったものとはいえない。