全 情 報

ID番号 03777
事件名 損害賠償請求事件
いわゆる事件名 美濃窯業事件
争点
事案概要  就業規則上の会社以外の業務に承認なく従事しないこと、会社の不利益になる事項及び業務上の機密を漏洩しないことに違反したとしてなされた損害賠償請求につき、右義務違反があるが、損害発生の因果関係が認められないとして請求を棄却した事例。
参照法条 労働基準法2章
民法415条,709条
体系項目 労働契約(民事) / 労働契約上の権利義務 / 企業秘密保持
裁判年月日 1986年9月29日
裁判所名 名古屋地
裁判形式 判決
事件番号 昭和53年 (ワ) 2235 
裁判結果 棄却(確定)
出典 時報1224号66頁/タイムズ656号247頁/労経速報1292号20頁/労働判例499号75頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔労働契約-労働契約上の権利義務-企業秘密保持〕
 前記認定の事実関係によれば、被告Yは、昭和四四年五月頃、前回の訪台の際に世話になったAの依頼を断わりきれず、同人の求めに応じて長さ五八メートルのエンドレスキルンを建設するのに必要な設計を行い、右キルンに適合する駆動装置の規模、能力等の技術的な面の指導をも行い、その後、Aが、台湾、インドネシアにおいて、次々とエンドレスキルンを建設するに当たっては、短期間の休暇等を利用して現地に赴き指導、助言をするなどし、また、被告会社をAに紹介して、右キルン建設のために必要な機材の調達、輸出に協力し、被告会社から右機材の仕入価格の一〇パーセントないし一五パーセントに当たる金額を紹介料ないしアドバイス料を受け取るなどしたのであるが、被告Yがした右各行為は、前記二で認定した、同人が原告に対して負担していた義務に違反したものというべきである。
 (中略)
 被告Yの前記三で認定した義務違反行為ないし違法行為がなかったならば、原告会社において、別紙違法行為一覧表記載の各キルンの建設の仕事の全部又は一部を受注し得たものとは直ちに認め難く、本件全証拠によるも、右因果関係を認めるに足りない。