全 情 報

ID番号 03780
事件名 地位保全仮処分申請事件
いわゆる事件名 国鉄長野運転所事件
争点
事案概要  成田空港反対のためのデモに参加した公務執行妨害罪等で逮捕されたことを理由とする懲戒免職処分につき、これを有効とした事例。
参照法条 労働基準法89条1項9号
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 職務外非行
裁判年月日 1986年10月14日
裁判所名 長野地
裁判形式 決定
事件番号 昭和61年 (ヨ) 12 
裁判結果 却下
出典 労働判例484号59頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-職務外非行〕
 債権者の非違行為は、前記1に認定のとおり、職場外でされた職務遂行に関係のないものではあるが、成田空港の第二期工事阻止闘争に過激派の一員として参加し、公務執行中の警察官に対し、暴行を加え逮捕されたというものであって、著しく不都合なものと評価しうることは明らかであり、それが債務者の職員の所為として相応しくないもので、債務者の社会的評価を低下毀損するおそれがあると客観的に認めることができるから、国鉄法三一条一項一号及びそれに基づく国鉄就業規則一〇一条一七号所定の事由に該当するものといわなければならない。
 (中略)
 債権者の非違行為は、前記1に認定のとおり、凶器準備集合罪、公務執行妨害罪等に該る犯罪行為であって、その具体的態様も反社会性の非常に高い過激な行動であり、付近住民に与えた不安、迷惑も図り知れないものがあり、これによる直接間接の法益侵害の程度や社会に与えた影響も極めて大きく、また、本件三里塚十字路事件後における債権者の態度も良好でないことが明らかである。右に述べたような諸事情を総合すると、債権者には本件以前には特筆すべき処分歴はないこと、及び免職処分の選択に当たっては、他の処分の選択に比較して特に慎重な配慮を要することを勘案しても、なお、債務者が債権者の非違行為につき懲戒免職処分を選択した判断が合理性を欠くものといえず、本件免職処分は裁量の範囲を越えた違法なものということはできない。