ID番号 | : | 03781 |
事件名 | : | 退職金等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 中山事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 五五歳定年制をとっている会社において、その後四年余勤務した者の退職金の計算時期につき、五五歳の時ではなく現に退職した日時によって計算した事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項3の2号(旧3号) |
体系項目 | : | 賃金(民事) / 退職金 / 退職金請求権および支給規程の解釈・計算 |
裁判年月日 | : | 1986年10月15日 |
裁判所名 | : | 京都地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和60年 (ワ) 2089 |
裁判結果 | : | 一部認容(確定) |
出典 | : | タイムズ637号124頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔賃金-退職金-退職金請求権および支給規程の解釈・計算〕 2 原告は昭和五六年一一月二三日、五五歳になるので、原告の企業年金も支払われることになったが、その頃右Aは原告に対し、企業年金の支給を繰り延べ一時B会社に預託することの承諾を求め、原告はこれに応じた。しかし、その後も原告は経理部長として従前と全く同様の仕事に従事し、給料も全く減額されなかった。但し、その後、被告の営業が悪化し、昭和六〇年一月に被告の役員の給料が減額され、原告の給料も五万円減額された。 以上の事実に加え、被告は、昭和五六年一一月頃Aが原告に企業年金をB会社に預託することの承諾を求める際、原告には定年退職してもらうが、その後原告を再雇用することにしたいと申入れ、原告はそれを承諾したのであり、原告は同年一一月定年退職したと主張し、証人Aの証言もこの主張に沿った内容となっている。しかし、企業年金を預託する際に作成された前記乙第一号証に記載の文言は、原告が退職したとは書かれておらず、「引続き在職する」と書かれていること、前記認定のとおり原告の給料は定年によって減額することなく、仕事の内容も原告の肩書きも全く変化がなかったこと、証人Cの証言及び原告本人尋問の結果によれば、右企業年金は原告に支払われないままB会社に預けられ、昭和六〇年四月三〇日原告に支払われたが、企業年金を預託した昭和五六年一一月二三日から昭和六〇年四月三〇日の間の利息は原告に支払われていないこと、前記甲第一〇号証によれば、就業規則には従業員の定年を延長することができると定められていることがそれぞれ認められることに加え、被告の主張に沿う証拠は証人Aの証言しかないことを併せ考えると、原告が昭和五六年一一月、一旦定年退職したとは認められず、被告の右主張は採用できない。そして、原告が昭和六〇年四月三〇日に被告を退職したことは当事者間に争いはないから、原告は昭和四二年三月六日に被告に就職し、昭和六〇年四月三〇日被告を退職し、結局一八年間二か月被告に勤続したと認めるのが相当である。 |