ID番号 | : | 03782 |
事件名 | : | 地位保全仮処分申請事件/金員支払仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | ニシムラ事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 事務所経費で会社の許可していないおやつなどを購入して飲食したことが横領罪にあたるので退職しなければ懲戒解雇や告訴も考えている、といわれた女子従業員が退職届を提出した事案につき、会社の強迫による意思表示とした事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 民法96条 |
体系項目 | : | 退職 / 退職願 / 退職願と強迫 |
裁判年月日 | : | 1986年10月17日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 昭和60年 (ヨ) 4244 |
裁判結果 | : | 一部認容 |
出典 | : | タイムズ632号240頁/労働判例486号83頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔退職-退職願-退職願と強迫〕 労働者に何らかの不正行為があり、それによって使用者が被害を被ったような場合に、使用者が右を理由に労働者を懲戒解雇に処し、あるいは刑事上の告訴をなすことは、それらが濫用にわたらない限り、正当な権利行使として許されることは論を俟たないが、使用者の右懲戒権の行使や告訴自体が権利の濫用と評すべき場合に、懲戒解雇処分や告訴のあり得べきことを告知し、そうなった場合の不利益を説いて同人から退職届を提出させることは、労働者を畏怖させるに足りる強迫行為というべきであり、これによってなした労働者の退職の意思表示は瑕疵あるものとして取り消し得る。 (中略) そうすると、申請人らの本件退職の意思表示は、会社の強迫によって畏怖した結果なされたもので取り消し得るものというべきところ、右意思表示は、遅くとも昭和六〇年八月二四日に取り消されたものというべきであるから、申請人らのその余の主張について判断するまでもなく、本件各合意解約はいずれも無効である。 |