ID番号 | : | 03821 |
事件名 | : | 償還金請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 防衛医大事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 防衛医大における教育・訓練終了後九年以上の期間、自衛隊員として勤務することなく退職した者に対する、経済的諸経費の返還請求が求められた事例。 |
参照法条 | : | 自衛隊法98条の2第1項 労働基準法16条 |
体系項目 | : | 配転・出向・転籍・派遣 / 転籍 |
裁判年月日 | : | 1989年2月27日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和63年 (ワ) 2918 |
裁判結果 | : | 認容 |
出典 | : | タイムズ704号210頁/労働判例534号6頁/新聞916号6頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔配転・出向・転籍・派遣-転籍〕 被告が国立A大学校に入校した当時、既に自衛隊法九八条の二は施行されていたのであるから、被告は卒業後九年以上の期間隊員として勤続しなかった場合、同条一項に定める償還金を償還する義務を負うことや、その具体的な金額は「教育訓練に要した職員給与費、研究費その他の経常的経費の学生一人当たりの額をこえない範囲内において」「政令」で定められることを知悉していたものということができるうえ、右「経常的経費の学生一人当たりの額」は、事柄の性質上当該教育訓練が修了した時点すなわち、卒業時点ではじめて確定するものであり、しかも、右「政令」に当たる自衛隊法施行令一二〇条の一五の規定(及び同規定に基づく別表第一〇)は、国立A大学校第一期生の卒業時までに定められたのであるから、第五期卒業生である被告は、その卒業時、右規定(及び別表第一〇は順次追加されている。)により具体的な償還金額を知悉できたということもできる。そして、被告は自衛隊を離職したのは前示のとおり昭和六二年八月三日であるから、当時既に効力を有していた右規定が被告に適用されるのは当然である。 (中略) 被告は、償還すべき金額は隊員として勤務したにすぎないものがただちに償還できる性質のものではなく自衛隊法施行令一二〇条の一六は労働基準法一六条に反する旨主張する。 しかしながら自衛隊法一〇八条によると、労働基準法の規定は隊員に適用されないというのであるから、被告に償還金に関する規定を適用するについて、労働基準法一六条違反が問題になる余地はない。 |