ID番号 | : | 03826 |
事件名 | : | 懲戒処分無効確認等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 東京市外電話局ほか事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 年休の時季指定に対し時季変更権が行使されたにもかかわらず休暇として欠勤したことに対してなされた懲戒処分と賃金カットにつき右処分の効力とカット分の賃金の支払の可否が争われた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法39条4項 |
体系項目 | : | 年休(民事) / 時季指定権 / 指定の方法 年休(民事) / 時季変更権 |
裁判年月日 | : | 1989年3月1日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和53年 (ワ) 7523 |
裁判結果 | : | 一部認容 |
出典 | : | 時報1317号134頁/労働判例535号12頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔年休-時季指定権-指定の方法〕 労働者の年休の時季指定の意思が受領権限を有する直属上長に達しさえすれば、時季指定の時期、方法が、公社の右のような定めに反してされたからといって、そのことから直ちに、時季指定がなかったとか又は無効であると解する理由はなく、時季変更権行使の効力を判断する場合の一要素として考慮すれば足りるというべきであって、このことは、服務規律の厳正化が求められているときであっても変わりはない。なぜなら、そう解さなければ、労働基準法三九条が、年休の時季指定の時期等についてなんらの制限をしていない趣旨にもとる結果となるからである。また、右3認定の事実からすると、少なくとも第四電力課においては、そのように運用されてきたということができる。 この見地からすると、原告Xの五月二〇日に年休を取得するとの意思は、五月一九日の午後二時五〇分ころに年休の時季指定の受領権者であるA部長に了知されているのであるから、これによって年休の時季指定は有効にされてたものということができる。 〔年休-時季変更権〕 以上見たところを要約すると、五月一九日の時点で、翌二〇日に日常業務に優先して予備エンジンの不調箇所の探索・修理を急いで行わなければならない必要があったかどうかが疑問であり、実際にも五月二〇日に日常業務に優先して予備エンジンの不調箇所の探索・修理を行い、第四電力課では、Bに加えて原告Xが年休の時季指定を行ったことから、業務がふくそうしたとか日常業務に支障が生じたと認めることは困難である。よって、原告Xの年休時季指定につき、公社に「事業の正常な運営を妨げる事情」が存したとはいえないから、これに対してされた公社の時季変更権の行使は、その余の点について判断するまでもなく、その要件を欠き無効なものである。 |