ID番号 | : | 03829 |
事件名 | : | 金員支払・地位保全仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 山崎保育園事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 依願退職願の提出をした翌日に右依願退職取消通知をした保育園の保母の、退職願の撤回が適法になされたか否かが争われた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 |
体系項目 | : | 退職 / 退職願 / 退職願いの撤回 |
裁判年月日 | : | 1989年3月3日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 昭和63年 (ヨ) 3257 |
裁判結果 | : | 一部認容 |
出典 | : | 労働判例536号41頁/労経速報1354号22頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔退職-退職願-退職願いの撤回〕 本件退職願の性質は、前記認定事実に照らすと、雇用契約の合意解約の申込の意思表示であり、一方的解約申入とは認められない。そしてこの申込の意思表示は、使用者からの承諾の意思表示があるまでは、撤回により使用者に不測の損害を与えるなど信義に反するような特段の事情がない限り、これを自由に撤回することができると解するのが相当である。 本件において、前記認定事実に照らすと、申請人が本件取消通知を被申請人に提出することにより本件退職願を撤回するまでの間に、被申請人が本件退職願を受理し、申請人の合意解約の申込に対し承諾の意思表示をなした事実は認められないし、また、申請人の意思表示の撤回が信義に反する特段の事情が存することの主張及び疎明もない。なお、本件取消通知は、本件退職願に係る意思表示が強迫によることを理由として取消す旨述べたものであるが、それは、意思表示の撤回の趣旨を含むものというべきである。 そうだとすると、本件退職願は有効に撤回されたから、その余の点につき判断するまでもなく申請人の任意退職は成立せず、被申請人との雇用関係は継続しているものというべきである。 |