ID番号 | : | 03922 |
事件名 | : | 地位保全仮処分等申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 恵松会(恵美保育園)事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 園児に対する保育態度の不良等を理由とする保母の解雇の効力が争われた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 労働基準法20条 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / 解雇事由 / 勤務成績不良・勤務態度 |
裁判年月日 | : | 1988年2月13日 |
裁判所名 | : | 福岡地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 昭和61年 (ヨ) 650 |
裁判結果 | : | 却下 |
出典 | : | 労働判例514号82頁/労経速報1337号24頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔解雇-解雇事由-勤務成績不良・勤務態度〕 (五) 昭和六〇年三月一四日午後四時三〇分ころ、A保母が自分の担任する組の園児たちを連れて廊下を歩いていたところ、当時園では二組の園児を同時に一室に入れることは混乱を招き、園児に対する危険を伴なうところから固く禁止されていたにもかかわらず、債権者はこれを無視して右Aと園児たちを自分の担任する組の部屋に招き入れた。そのため室内は混乱し、園児の一人Bが、机の角で左頬を打つという事故が発生した。報告を受けた債務者代表者は、同児の顔に外傷が見当らなかったところから、病院に行くほどのことはなかろうと考え、応急措置として冷やしておくようにと指示して置いたが、その後二、三週間程経って同児の顔が異常に腫れているのに気づき、園では、以後、債務者の負担において、同児に通院加療を受けさせた。ところが、債権者は、このことを知ってからのちも、Bの家族に連絡をとり、あるいは謝罪するなどの対応は全くとらなかった。さらに、昭和六一年二月ころ、Bとその母親(なお、Bは前記(二)のCの妹である。)が来園し、債務者代表者やA保母及び債権者らと話し合った際にも、債権者は素直にBの母親に謝罪するところがなかった許りか債務者代表者から「本当ならあなたも辞めてもらいたいところですよ。」などと言われるや興奮の余り母親に向って、「私は辞めなければいけませんか。」「事故の度に保母がやめたのでは、保母は何人いても足りない。」などと放言し、母親をして激怒せしめ、土下座をして失言を詫びる仕儀となった。 (中略) 以上の事実が認められ、右事実によると、債務者が債権者に保母としての資質、適性に欠けるとして本件解雇に踏み切るに至ったのも、それなりに理解し得る理由があり、やむを得ない措置であったと評価し得る。 してみると本件解雇は有効であり、これを無効とする債権者の主張(再抗弁)は理由がないので、債権者の本件仮処分申請は、爾余の点について審究するまでもなく、被保全権利についての疎明を欠くものとして排斥を免れない。 |