全 情 報

ID番号 03939
事件名 懲戒処分取消等請求事件
いわゆる事件名 全福岡郵政労組事件
争点
事案概要  業務移管反対を理由とする業務命令拒否が争議行為にあたるとしてなされた懲戒処分の効力が争われた事例。
参照法条 公共企業体等労働関係法17条1項
労働基準法39条4項
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 違法争議行為・組合活動
年休(民事) / 年休の自由利用(利用目的) / 一斉休暇闘争・スト参加
裁判年月日 1988年3月8日
裁判所名 福岡地
裁判形式 判決
事件番号 昭和56年 (行ウ) 6 
裁判結果 棄却
出典 労働判例515号13頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-違法争議行為・組合活動〕
 原告らは、1 昭和五二年三月二八日から同年四月四日までの間、組合の指令を受けて、Aをはじめとする上司の警告や就労命令等を無視し、勤務時間中に集団で職場を離脱し、局外の公園でソフトボールをする等して所定の勤務を欠き、
 2 同年一一月五日の組合の指令を受けて年賀葉書の売りさばきを拒否し、同年一二月三日から同月六日まで、同月一〇日から同月一六日まで及び同月二三日、二四日の間、組合の指令を受けて、三局長等の警告や就労命令等を無視し、勤務時間中に集団で職場を離脱し、あるいは突然一斉に作業を止めたり一斉に就労するなどして所定の勤務を欠いたものであり、その結果、業務の正常な運営を阻害したものというべきである。したがって、原告らの右1、2の行為は、いずれも公共企業体等労働関係法(以下「公労法」という。)一七条一項で禁止された争議行為に該当する。
〔年休-年休の自由利用(利用目的)-一斉休暇闘争〕
 そうすると、右各原告らが、その主張する日に年次有給休暇を請求したとしても、これは勤務に就くべきことを前提にしてその義務を免れるために請求したものではなく、争議行為における組合の主張すなわち旧形態の勤務のために待機するという主張を貫く目的でなされたものと推認され、そこには、そもそも、当局の適法な時季変更権の行使によって事業の正常な運営の確保が可能であるという、年次有給休暇制度が成り立っているところの前提が欠けているから、右各年次有給休暇の請求は、結局、それ自体が争議行為の一手段としてなされたものといわざるを得ない。したがって、このような年次有給休暇の請求は適法な権利の行使としての効力を有するものとは認められない。