ID番号 | : | 03941 |
事件名 | : | 懲戒解雇効力停止仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 前橋育英短大事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 短大教授に対する米国研修阻止、担任の職務放棄等を理由とする懲戒解雇の効力が争われた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項9号 日本国憲法23条 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒手続 |
裁判年月日 | : | 1988年3月11日 |
裁判所名 | : | 前橋地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和62年 (ヨ) 67 |
裁判結果 | : | 認容 |
出典 | : | 労働判例514号6頁/労経速報1334号6頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 松元忠士・教育判例百選<第3版>〔別冊ジュリスト118〕196~197頁1992年7月/大塚武一・労働法律旬報1195号62~63頁1988年7月10日 |
判決理由 | : | 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒手続〕 憲法二三条に保障する学問の自由は、その制度的基盤として大学の自治を包含するものであり、大学の自治の一つの主要な柱が教授会の自治に存することは学校教育法五九条等の規定より明白である。 A大学における前記諸規定中解雇に際して教授会の審議を要求した部分は、右大学の自治の保障を具体化したものであって、この手続を怠った瑕疵を軽視することはできず、個々の教授個人の意見を聴取したとしても、これが、会議体として要求されている教授会でないこと及び構成員である専任の助教授、助手の意見を反映していないことの二点において、右教授会の審議に代替するものとは考えられない。 被申請人は、教授会を開催したときは、申請人が議事を混乱させるおそれがあり、開催不能であった旨主張するが、懲戒処分を審議する際に被懲戒者には弁明の機会を与えれば足り、審議に加える必要のないことは衆議院規則二三九条、参議院規則二四〇条等に見られるように会議体一般の扱いであり、被申請人のこの点の主張は理由がなく、かえって(証拠略)、証人B及び同Cの各証言並びに被申請人代表者尋問の結果によれば、学長において教授会の審議を経ず個別に教授の意見を求めたのは、教授会を開いたときは、申請人の解雇に反対する教授の発言の影響で本件解雇の決議を得られないおそれがあると考えたことが、一つの主要な原因であるものと一応認められる。 以上を総合考慮すれば、本件解雇は、他の諸点を検討するまでもなく、その効力を否定せざるをえない。 |