ID番号 | : | 03953 |
事件名 | : | 雇用契約存在確認等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 近畿生コン事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 使用者による、雇用期間を一年とする期間の定めのある雇用契約の雇止めの主張に対して、労働者が雇用契約存続確認を求めた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法21条 労働基準法2章 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / 短期労働契約の更新拒否(雇止め) |
裁判年月日 | : | 1988年4月6日 |
裁判所名 | : | 京都地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和61年 (ワ) 2010 |
裁判結果 | : | 一部認容 |
出典 | : | 労働判例518号48頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔解雇-短期労働契約の更新拒否(雇止め)〕 以上の事実によれば、原告被告間には雇用期間を一年間とする臨時雇用契約書が二通交わされているが、原告が被告に就職する際には雇用期間については何等の合意もなかったこと、右二通の臨時雇用契約書の作成時期は、一回目は就職後三か月も後の時期であり、二回目は雇用期間を一年とした場合の更新時期から七か月も経過した後であること、右契約書を交わすとき、右契約書を提示したA工場長は右契約書は形式的なものであることを強調し、この契約書で雇用期間に変更が生じるものではないかのような説明をしたことが、それぞれ認められ、これらの点を総合すれば、原告被告間に雇用期間を一年間とする雇用契約の合意が成立したと認めることは困難である。 なお、仮に原告被告間に雇用期間を一年間とする合意があったとしても、右に認定した各点に加え、原告が就職した後、一年毎の更新を行なうべき時期には更新手続は全く行われず、原告は退職の話もなく三年間被告で働いてきたこと、前記のとおり原告の労働時間及び賃金体系は正従業員と異なるが、その仕事の内容は季節的なものではなく被告にとって欠くことのできない作業であったこと、などの点を併せ考えれば、原告被告の雇用契約における意思は、いずれかから格別の意思表示がなければ当然に更新されるべき雇用契約を締結する意思であったというべきである。そして、このような雇用契約においては、期間満了を理由とする雇い止めは実質において期間の定めのない雇用契約における解雇の意思表示にあたるから、解雇に関する法理を類推適用するべきである。そして、被告は雇用期間満了以外に解雇理由を特に主張していない。(証拠略)によれば、被告の営業成績は必ずしも好調とはいえないことが認められ、被告はこの点を解雇理由として主張するかのようであるが、そのことだけで原告の解雇を正当と解するには足りず、その他原告の解雇を正当とするに足りる主張はない。 |