ID番号 | : | 03955 |
事件名 | : | 地位保全金員支払仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 四天王寺国際仏教大学事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 「礼拝」への出席状況が不良であること、副学長の出頭指示に従わなかったことを理由とするYの専任講師に対する懲戒解雇の効力が争われた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項9号 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒権の濫用 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 職務懈怠・欠勤 |
裁判年月日 | : | 1988年4月20日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 昭和62年 (ヨ) 949 |
裁判結果 | : | 認容 |
出典 | : | タイムズ676号94頁/労働判例517号24頁/労経速報1328号16頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 新谷眞人・季刊労働法149号162~163頁1988年10月 |
判決理由 | : | 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒権の濫用〕 (三) 右(一)及び(二)の事実によれば、申請人の本件解雇事由と本件訴外人らの停職処分事由とは同一であるにもかかわらず、その処分内容は、申請人のみが極めて重い処分となっていることが明らかである。 したがって、申請人と本件訴外人らとの処分内容を異にすべき特段の事情を認めるに足りる疎明資料のない本件にあっては、本件解雇は著しく均衡を失した違法な処分と解するのが相当である。 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-職務懈怠・欠勤〕 当事者間に争いのない事実及び疎明資料によれば、被申請人は、申請人と雇用契約を締結するにあたって、当時教育職員らの木曜礼拝への出席状況がよくなかったことから、申請人からは「今般貴学園に奉職するにあたり、貴学園の建学の精神である聖徳太子の仏教精神をよりどころとして教育を行い、貴学園就業規則、その他の諸規程、命令を遵守し、忠実に職務を遂行することを誓います。」との不動文字で記載した誓約保証書を差し入れさせ、また、その際、A副学長において木曜礼拝に出席をしてもらいたいとの要請をしていた事実も一応認めることができるが、他方、疎明資料によれば、前記教育職員の採用・就業に関する規程第四条は昭和六一年一一月一七日から施行されたものであって、当時は教育職員の木曜礼拝について未だ明文化されてはおらず、また、審尋の全趣旨によれば、申請人においても、右出席要請の趣旨を十分に認識することのないまま形式的に右保証書を差し入れ、その要請を聞いていたと推認されるから、これらを総合して勘案すれば、右をもって申請人とその余の者との著しい処分の相違を理由づけることは相当でない。 (四) ところで、本件解雇の効力をめぐっては、その前提として、木曜礼拝への出席が就業規則上の義務であるかどうかが重大な争点であるところ、右義務を被申請人主張のように解し得るかについては必ずしも明確でなく、むしろ大いに問題の存するところではあるが、仮に、木曜礼拝への出席が当事者間の雇用契約に由来して発生する何らかの義務と解される余地があるとしても、その性質論はさておき、以上説示してきたところによれば、本件解雇は著しく均衡を失し、少なくとも解雇権の濫用にあたることが明らかであるから、本件解雇は無効であるといわなければならない。 |