全 情 報

ID番号 03980
事件名 給料等請求事件
いわゆる事件名 エジス事件
争点
事案概要  従業員として不適当であるとして試用期間中に即日解雇された労働者が解雇予告手当、賞与等を請求した事例。
参照法条 労働基準法11条
労働基準法20条1項
労働基準法3章
体系項目 賃金(民事) / 賞与・ボーナス・一時金 / 賞与請求権
解雇(民事) / 解雇予告 / 解雇予告の方法
裁判年月日 1988年6月27日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 昭和62年 (ワ) 13965 
裁判結果 一部認容
出典 労経速報1334号3頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔解雇-解雇予告-解雇予告の方法〕
 被告が原告に対し雇用契約終了後、金二八万円を支払っていることは当事者間に争いがなく、被告は右金員をもって解雇予告手当ではなく、恩恵的なものであると主張するところ、合意退職ではなく即日解雇であったこと既に認定したとおりであり、そのような場合に右二八万円を解雇予告手当に充当したものとすることについては当事者間に争いがないから、これを充当すると残額の金六四四〇円がなお未払いというべきである。
〔賃金-賞与・ボーナス・一時金-賞与請求権〕
 賞与が賃金であるか、或いは使用者が任意に支給する恩恵的な性質を帯びた金員であるかは争いのあるところではあるが、被告におけるように支給される賞与が基本給の一・五カ月分と就業規則に明記されているときには、その支給に際して勤務成績に基づく査定等が一切なされないのであろうから、これだけを捉えれば賞与が労働の対価として、使用者が支払いを義務づけられた賃金の一部であると解せられないではない。しかし、賞与が支給されるためには賞与該当期間の全部を勤務していること(被告の就業規則による限り、賞与該当期間中の勤務した期間の割合に応じて賞与請求権を取得するとは解せられない)が要件となっていることからすると、賞与には該当の全期間に労務を提供したことに対する褒賞と将来の労務の提供を奨励する趣旨とが含まれていることは否定できず、その点で労務の提供がある限り、使用者が必ず支払わなければならない雇用契約上の本来の賃金とは、なおその性質を異にしているというべきである。従って、賞与の支払い方法として、労働契約、或いは就業規則によって一定の基準日に在籍していることを条件とすることも、そのこと自体をもって労働基準法二四条一項の趣旨に抵触し違法であるとすることはできない。