全 情 報

ID番号 03981
事件名 地位保全等仮処分申請事件
いわゆる事件名 新三菱タクシー事件
争点
事案概要  管理職に対する暴言・暴行を理由とするタクシー運転手に対する懲戒解雇の効力が争われた事例。
参照法条 労働基準法89条1項9号
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 暴力・暴行・暴言
裁判年月日 1988年6月29日
裁判所名 大阪地
裁判形式 決定
事件番号 昭和61年 (ヨ) 5381 
裁判結果 却下
出典 労働判例522号48頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-暴力・暴行・暴言〕
 また、前記認定の事実からすれば、給料明細表のミスが生じたのは、公休日の前後以外の振替は認められていないにもかかわらず、申請人が一週間もひらいた公休出勤と届出欠勤とを振替えさせようとして、既に入力されたコンピューターに後日になって正式の手続も踏まずになかば強引に変更させて自己の届欠を消そうとしたことが、その原因ともいえる。
 これらの事情からすれば、申請人のA次長に対する前記の「姫路まで一緒に行って謝れ。おとしまえをつけろ。」等の言動は理不尽な要求であるといわざるを得ないし、更に、前記認定のように、B所長の制止行為、命令等にも従わず、A次長に対して執拗に個人攻撃に終始し、威迫の言動を続け、ネクタイをひっぱって同人の首を締めたり、ネクタイをはずした同人のワイシャツの襟首を両手でつかんで引っ張りあげる等の暴行を加え、逃げる同人を追いつめたうえ、算盤で、同人の顔面に殴りかかり、これが咄嗟によけた同人の腹部に当り、通院五日間の腹部挫創の傷害を負わせたという申請人のこれら一連の行為は非常に悪質なものであるといわざるを得ない。
 (中略)
 右にみたような本件事案の内容、情状等諸般の事情を総合勘案すれば、本件懲戒解雇はまことにやむを得ない処分というべきであって、懲戒権を濫用したということはできない。