ID番号 | : | 03989 |
事件名 | : | 懲戒処分取消請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 全逓熊本地方貯金局事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 争議行為に際し指導的行為をしたこと、争議行為に参加したことを理由としてなされた懲戒処分(減給三~六カ月)の効力が争われた事例。 |
参照法条 | : | 国家公務員法82条 公共企業体等労働関係法17条1項 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 違法争議行為・組合活動 |
裁判年月日 | : | 1988年7月18日 |
裁判所名 | : | 熊本地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和51年 (行ウ) 10 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労働判例523号27頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-違法争議行為・組合活動〕 懲戒処分は、国家公務員の職務上の義務違反、その他、単なる労使関係上の見地からのみでなく、国民全体の奉仕者として公共の利益のために勤務することをその本質的な内容とする服務関係に照らし、公務員としてふさわしくない非行のあった場合に、その責任を確認し、公務員関係の秩序を維持するため課される制裁であり、これに対応してその内容も、免職、停職、減給、戒告といった公務員としての身分に伴う利益の全部または一部の剥奪にとどまるのである。したがって、それは、全体としての法秩序に反する違法行為に対して、一般統治権の作用に基づき科される制裁であるところの刑事罰とは目的・性質を異にし、効果からみても、個人の全人格に対して課せられるところの生命刑、身体刑、財産刑を含む刑事罰とは、おのずと内容において格段の違いがある。そして、かような懲戒処分の目的・性質からして、これを課するかどうか、またその場合、どういう種類、程度のものによるかは、監督権者としての懲戒権者の裁量に委ねられると解されているのである(最高裁判所昭和五二年一二月二〇日第三小法廷判決民集三一巻七号一一〇一頁参照)。懲戒処分の目的、性質及び内容は右のとおりであって、それが公務員関係の秩序維持の観点から課せられる制裁であること、その内容においても公務員関係の身分に関する利益の全部または一部の剥奪に止どまることなど、刑事罰とは本質的に異なっている以上、懲戒処分を課するにつき、刑事罰における場合のように、当該職員の懲戒事由となった行為について、刑法上のそれと同様の意味での責任論の援用を肯定する見解には左袒し難い。よって、この点に関する原告らの主張も理由がない。 |