ID番号 | : | 04008 |
事件名 | : | 懲戒処分無効確認請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 営団地下鉄事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 就業時間中の運転事故復旧訓練を拒否したことを理由とする停職処分につき、就業規則の懲戒事由に該当し、懲戒権の濫用にもあたらないとして有効とされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項9号 民法1条3項 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒権の濫用 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 業務命令拒否・違反 |
裁判年月日 | : | 1988年9月14日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和57年 (ワ) 1381 |
裁判結果 | : | 棄却(確定) |
出典 | : | 時報1295号139頁/労働判例525号24頁/労経速報1338号3頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-業務命令拒否・違反〕 原告らがいずれも、職制の説得に耳を貸さなかったばかりか、罵声をもってこれに応じ、地下車庫で事故復旧訓練を行わないという合意ないし労働慣行があるとの見解に固執して、職制の指示に従わず、就業時間中であるにもかかわらず、本件訓練を拒否したことは、成立について争いのない(証拠略)によって認められる被告の就業規則第四九条一号(「業務上の義務に違背し又は職務を怠ったとき」)、三号(「営団の秩序を紊乱する所為があったとき」)に各該当するというべきである。 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒権の濫用〕 被告の就業規則第五〇条には、被告における懲戒処分として懲戒免職、諭旨解職、停職、減給、譴責の五種が定められているが、そのいずれを選択するかは、懲戒権者が懲戒事由に該当する行為の外部的態様のほか、動機、状況、行為の前後における態度等諸般の事情を斟酌して決すべきものと解すべきところ、その判断は先ず平素から職員の勤務状態を把握している者の合理的な裁量に委ねられていると解される。したがって、被告が裁量権の行使としてなした懲戒処分は、それが社会通念に照らして著しく妥当性を欠き裁量権を濫用したと認められるものでない限り、違法とはならないものと解すべきである。 右の見地に立って、本件懲戒処分が社会通念上著しく妥当性を欠き、裁量権を濫用してなされたか否かについて検討するに、本件懲戒処分の対象となった原告らの行為は前記認定のとおりであり、殊に右行為によって本件訓練の実施に混乱を生じたこと、さらに右の行為は単に訓練に参加しないというだけでなく、積極的な抗議行動にまで及んでいること等その行為の程度、態様等諸般の事情に鑑みると、本件懲戒処分が社会通念上著しく妥当性を欠くとも、裁量権の範囲を越えたものともいうことはできない。したがって、本件懲戒処分は正当である。 |