ID番号 | : | 04011 |
事件名 | : | 地位保全仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | スガワラ事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 労使紛争のさいに社長側に立って組合と対決的姿勢を示した者らに対する紛争解決後の懲戒解雇につき、懲戒事由が存在しないとして無効とされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項9号 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 職務懈怠・欠勤 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 職務能力 |
裁判年月日 | : | 1988年9月26日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 昭和62年 (ヨ) 2325 |
裁判結果 | : | 一部認容 |
出典 | : | 労働判例525号10頁/労経速報1341号9頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-職務懈怠・欠勤〕 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-職務能力〕 同人は、取締役に就任するや、当時の社長Aの意向を受けて対労働組合や管理職組合の前面に出てこれらと対立する言動をとったため、その激しい対抗、抗議を招き、会社が混乱に陥って生産や出荷に遅滞が生じ、取引先に対する会社の信頼を毀損する原因を与えたことは、前述したところから明らかである。しかし、これらは、会社の取締役として、換言すれば会社の機関として発言し又は行動したことによるものであって、従業員としての任務違背や業務命令違反があったという訳ではないから、この点については、取締役としての責任が問題となることがあるのは別として、就業規則に基づく従業員としての責任が問題となる余地はないというべきである。このことは、会社が解雇の根拠規定として主張する就業規則が「会社の従業員の就業に関する事項を規定する。」と定め(一条)、また、「従業員とは、会社と雇用契約を締結した者を指す。」と定めている(二条)ことによっても明らかである。そして、同人は、取締役を辞任して従業員としての身分のみを有することとなった後、会社と労働組合との間で交わされた確認書に基づいて自宅謹慎の処分を受けたため、出社することなく経過していたのであるから、これを無断欠勤と見ることはできない。 したがって、会社主張の解雇事由があるとはいえず、債権者Xに対してした懲戒解雇は無効である。 |