ID番号 | : | 04018 |
事件名 | : | 地方公務員法に基づく措置要求却下判定取消請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 東京都事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 入院患者の担当をはずされた都立病院の勤務医による、入院患者を担当させなければならない措置要求につき、その対象とならないとされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 地方公務員法46条 |
体系項目 | : | 労働契約(民事) / 労働契約上の権利義務 / 労働義務の内容 |
裁判年月日 | : | 1988年9月29日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和61年 (行ウ) 35 |
裁判結果 | : | 棄却(確定) |
出典 | : | 時報1290号149頁/判例地方自治52号14頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労働契約-労働契約上の権利義務-労働義務の内容〕 これを本件について見るに、本件措置要求の内容は、原告にA病院の神経内科の入院患者を担当させることというものであって、それ自体が経済的地位の向上に関連した事項とはいえないから、地公法四六条にいう「勤務条件」に関するものには当たらないと解するのが相当である。原告は、入院患者の病疾、病歴を継続的に把握し研究することは、医師の自己研鑚にとって不可欠の機会であり、これを得て臨床医の資質が練られ、十全な診療行為をなし、更には昇進の機会を得る旨を主張する。しかし、その趣旨とするところは、単に医師としての研鑚や資質の鍛練更には将来の昇進に影響する可能性があるというに過ぎないのであって、本件の全証拠によっても、現実に給与、勤務時間その他の待遇に影響があることが認められない以上、入院患者を担当することが経済的地位の向上に関連したものとはいえない。 のみならず、本件処分は、原告を入院患者の担当から外し、したがって外来患者の診療のみに当たらせるというものであるが、もともと、病院に所属する特定の医師に入院患者と外来患者の双方を担当させるか、それとも一方のみを担当させるかは、同人の資質、経験、適性のほか、同僚の医師や看護婦との関係更には患者に与える影響等を総合的に考慮し、専ら当該病院の管理者がその専門的知識と責任とに基づいて決定することのできる管理運営事項であると解されるから、本件において入院患者を担当することが何らかの意味で原告の経済的地位の向上に関連するとしても、措置要求の対象にはならないものというべきである。 したがって、本件措置要求は、地公法四六条の「勤務条件」に関するものには当たらない。 |