ID番号 | : | 04021 |
事件名 | : | 退職金請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 外務省事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 国家公務員の退職手当の計算につき、戦犯として服役した期間等が在職期間に含まれないとされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項3号の2 国家公務員退職手当法7条1項 |
体系項目 | : | 賃金(民事) / 退職金 / 退職金請求権および支給規程の解釈・計算 |
裁判年月日 | : | 1988年9月29日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和59年 (行ウ) 47 |
裁判結果 | : | 棄却(控訴) |
出典 | : | 時報1294号136頁/労働判例526号5頁 |
審級関係 | : | 控訴審/04771/東京高/平 1. 6.15/昭和63年(行コ)64号 |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔賃金-退職金-退職金請求権および支給規程の解釈・計算〕 ポツダム緊急勅令及びこれに基づくいわゆるポツダム命令は連合国の超憲法的権力に基づくものであり、超憲法的効力を有したものと解するほかはないから、原告は、被告主張のとおり、右勅令第一〇九号並びにこれを受けた閣令・内務省令第一号及び復員庁の「元海軍軍人軍属戦犯者(容疑者をも含む)身上及び諸給与の取扱ひに関する件通牒」に基づき、昭和二一年四月二六日に二〇年の戦犯刑が確定したことにより、同日付けで予備役に編入され軍人としての身分を喪失したと解するのが相当である。 なお、恩給法附則二四条の三第一項は、連合国により戦犯として拘禁されたものについて当該拘禁された期間を恩給算定の基礎となる在職年に加算することを認めているが、この規定は恩給法に特有のものであるから、これを類推して退職手当法を解釈することは許されない。すなわち、恩給法附則二四条の三第一項の立法の経緯をみるに、恩給法には当初、戦犯としての拘禁に配慮した規定は置かれていなかったが、ソ連、中国に抑留された未帰還公務員の抑留期間を普通恩給についての所要最低在職年限に達するまで基礎在職年に算入する改正が行われたことから、これとの均衡上、昭和三〇年法律第一四三号により恩給法附則二四条の三が追加され、拘禁前の公務員としての在職年が普通恩給についての所要最低在職年限に達していない者に限って、戦犯としての拘禁期間を右年限に達するまでその限度で在職年に加算することが認められ、次いで昭和四六年法律第八一号による改正で、右通算制限が撤廃されて拘禁期間を全て通算することが認められたのである。しかるに退職手当法においては、右のような恩給法の一連の改正にも拘わらず、戦犯としての拘禁に配慮した立法措置が全くとられていないのであって、このような立法経過及び恩給と退職手当の性質が異なることを併せ考慮すれば、立法者としては、むしろ、退職手当については恩給と同様の取扱いをしない趣旨と解するのが相当であって、これと逆に、退職手当法七条一項の原則に対する例外規定を創設するような類推解釈をなすべき根拠はないといわなければならない。 |