ID番号 | : | 04031 |
事件名 | : | 賃金請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 安田信託銀行事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 昇給、昇格、賞与に関する人事考課上の差別をうけたとしてなされた差額相当分の支払い請求が棄却された事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法24条 労働基準法2章 |
体系項目 | : | 賃金(民事) / 賃金請求権と考課査定・昇給昇格・降格・賃金の減額 |
裁判年月日 | : | 1988年10月17日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和61年 (ワ) 4974 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労働判例529号62頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔賃金-賃金請求権と考課査定・昇給昇格・賃金の減額〕 先ず、不当利得に基づく請求であるが、原告の主張は原告の提供した労務の質が「標準者」の基準に達していたことを前提とする。雇用契約の目的である労務の内容と提供される労務の質は千差万別であるから、対価たる賃金をきめるに際しては必然的に評価をともなうことになる。この場合、労務の質をどう評価するかの自由が労務の提供を受ける側にはあり、この評価が受け入れ難い労働者には退職の自由を保障するというのが、雇傭を契約として構成する民法の建て前である。本件においても、人事考課は雇用者である被告の自由な裁量において行うことができる。本件においても、原告との雇用契約における賃金決定の基準となる原告の提供した労務の質の評価は人事考課に基づき被告が判断するところに依るのである。 原告の被告における人事考課の評価が五段階評価の最下位であることは原告が自ら述べるところである。 そうすると、原告の提供した労務の質は「標準者」に達していなかったといわざるを得ないから、標準者であることを前提とする原告の主張は、その余について判断するまでもなく失当である。 |