全 情 報

ID番号 04035
事件名 時間外割増賃金請求事件
いわゆる事件名 関西ソニー販売事件
争点
事案概要  セールスマンに対する定額の時間外割増賃金を支払う制度につき、現実の時間外労働に対する割増賃金額が右定額の範囲内のものであれば労基法三七条に違反しないが、前者が後者を上回るときはその分を使用者に請求できるとされた事例。
参照法条 労働基準法37条
体系項目 賃金(民事) / 割増賃金 / 割増賃金の算定方法
裁判年月日 1988年10月26日
裁判所名 大阪地
裁判形式 判決
事件番号 昭和61年 (ワ) 7162 
裁判結果 棄却
出典 労働判例530号40頁/労経速報1347号3頁
審級関係
評釈論文 高島良一・経営法曹101号72~96頁1992年10月/末啓一郎・経営法曹97号34~40頁1991年6月/野間賢・季刊労働法151号152~153頁1989年4月
判決理由 〔賃金-割増賃金-割増賃金の算定方法〕
 3 労働基準法三七条は時間外労働等に対し一定額以上の割増賃金の支払を使用者に命じているところ、同条所定の額以上の割増賃金の支払がなされるかぎりその趣旨は満たされ同条所定の計算方法を用いることまでは要しないので、その支払額が法所定の計算方法による割増賃金額を上回る以上、割増賃金として一定額を支払うことも許されるが、現実の労働時間によって計算した割増賃金額が右一定額を上回っている場合には、労働者は使用者に対しその差額の支払を請求することができる。
 4 被告の給与規則では、基本給及びセールス手当は前月二一日から当月二〇日までの分が給与の一部として二五日に支払われ、超過勤務手当及び休日勤務手当についても月単位で集計され同様に二五日に支払われる旨定められていることは前認定のとおりであるところ、右事実からして、前月二一日から当月二〇日までの一か月間における実際の所定時間外労働に対応する賃金とセールス手当の額を比較し、前者が後者を上回っているときはその差額を請求できると解するのが相当である。