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ID番号 04049
事件名 損害賠償請求控訴事件
いわゆる事件名 三菱重工業事件
争点
事案概要  造船所における騒音による難聴の発生につき、使用者に安全配慮義務違反があるとして損害賠償請求が認容された事例。
参照法条 労働基準法2章
体系項目 労働契約(民事) / 労働契約上の権利義務 / 安全配慮(保護)義務・使用者の責任
裁判年月日 1988年11月28日
裁判所名 大阪高
裁判形式 判決
事件番号 昭和59年 (ネ) 1502 
昭和59年 (ネ) 2510 
裁判結果 一部変更(上告)
出典 タイムズ684号57頁/労働判例532号49頁
審級関係 一審/03129/神戸地/昭59. 7.20/昭和52年(ワ)1122号
評釈論文 小林和明・平成元年度主要民事判例解説〔判例タイムズ臨時増刊735〕88~89頁1990年10月
判決理由 〔労働契約-労働契約上の権利義務-安全配慮(保護)義務・使用者の責任〕
 雇用契約は、労働者の労務提供と使用者の報酬支払をその基本内容とする双務有償契約であるが、通常の場合、労働者は、使用者の指定した場所に配置され、使用者の供給する設備、器具等を用いて労務の提供を行うものであるから、使用者は、右の報酬支払義務にとどまらず、労働者が労務提供のため設置する場所、設備もしくは器具等を使用し又は使用者の指示のもとに労務を提供する過程において、労働者の生命、身体、健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務(以下「安全配慮義務」という。)を負っているものと解するのが相当である。右のような安全配慮義務は、ある法律関係に基づいて特別な社会的接触の関係に入った当事者間において、当該法律関係の付随義務として当事者の一方又は双方が相手方に対して信義則上負う義務として一般的に認められるべきものである。もとより、使用者の右の安全配慮義務の具体的内容は、労働者の職種、労務内容、労務提供場所等安全配慮義務が問題となる当該具体的状況等によって異なるべきものであることはいうまでもない(最高裁判所第三小法廷昭和五九年四月一〇日判決・民集三八巻六号五五七頁、最高裁判所第三小法廷昭和五〇年二月二五日判決・民集二九巻二号一四三頁参照)。
 (中略)
 以上を総合して検討すると、騒音職場における事業者等のその被用者・下請工に対する安全配慮義務の内容としては、一審被告において、前記2のイからホに掲げた騒音性難聴予防対策を、問題とされる時代における技術水準、医学的知見、経済的、社会的情勢に応じて可能な範囲で最善の手段方法をもって実施すべきであったものというべきである。」