ID番号 | : | 04056 |
事件名 | : | 仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | サッスーン(ユナイテッド・キングダム)リミテッド事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 勤務成績および勤務態度不良を理由とする解雇が有効とされた事例。 英国法に基づき設立され、日本国内に営業所を有しない法人の東京事務所に雇用されていた外国人の解雇に関し、我が国裁判所が裁判管轄権を有するとされた事例。 |
参照法条 | : | 法例7条1項 民法1条3項 労働基準法2章 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / 解雇事由 / 勤務成績不良・勤務態度 解雇(民事) / 解雇と争訟・付調停 |
裁判年月日 | : | 1988年12月5日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 昭和63年 (ヨ) 2221 |
裁判結果 | : | 却下(確定) |
出典 | : | 労働民例集39巻6号658頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 高桑昭・ジュリスト961号237~240頁1990年8月1日/佐野寛・平成元年度重要判例解説〔ジュリスト臨時増刊957〕283~285頁1990年6月 |
判決理由 | : | 〔解雇-解雇と争訟〕 右一認定のとおり、なるほど債務者は、外国に本店を有する法人であって、日本国内に営業所をも有していないが、本案となりうる賃金請求の義務履行地は日本にもあり、その争点は、解雇の効力の有無であるところ、解雇理由は、要するに債権者の東京事務所の代表者としての勤務成績が不良であるというものであるから、それについての証拠方法の多くは日本国内にあることが予想され、また、債務者の代表者が日本に来ることも稀ではないというのである。これらの事情の下では、当事者間の公平、裁判の適正、迅速を期するという理念に照らし、わが国裁判所が裁判管轄権を有すると解することが条理にかなうというべきである。そうすると、仮処分事件についてもわが国裁判所は裁判管轄権を有すると解するのが相当である。 〔解雇-解雇事由-勤務成績不良・勤務態度〕 債権者は、債務者の東京事務所の代表者として雇用されたものであるから、債務者の方針に従い一定水準以上の質の仕事をなすべきことを要求されていたと解されるところ、前述の事実のもとでは、東京事務所開設の後は、債権者は債務者の方針に正当な理由もないのに従わず、日常業務において要求された水準の成績を納めていたともとうてい解されないし、事務所管理の面でも、債権者自身の行動にも起因して職員管理を適切に行えなかったというべきであるから、債権者がすでに試用期間中でないとしても、債権者を解雇したことが解雇権の濫用とまでは言えない。 なるほど、債務者が、債権者が証券会社における業務の経験も、その業務に関する知識もないことを承知のうえで雇用したという事情はある。しかし、債権者は、債務者に雇用される際、右の知識を早期に習得するよう努力することを求められていたという事情があり、債権者が証券会社の業務等に習熟するための適切な努力をなしていたとも認められず、債務者は、債権者が、右努力をなしたと認められないことをも考慮して解雇をなしているのであるから、右の事情も前述の判断に影響するものではない。 |