ID番号 | : | 04062 |
事件名 | : | 地位保全仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 岡山電気軌道事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 退職届の撤回につき、承諾の意思表示前になされたもので信義に反するものでもなく有効とされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 民法627条 |
体系項目 | : | 退職 / 退職願 / 退職願いの撤回 |
裁判年月日 | : | 1988年12月12日 |
裁判所名 | : | 岡山地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 昭和63年 (ヨ) 5 |
裁判結果 | : | 一部認容 |
出典 | : | 労働判例533号68頁/労経速報1354号19頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔退職-退職願-退職願いの撤回〕 以上の事実に基づいて考察するに、債権者の申し出た本件退職願は、その態様からして雇用関係終了のための合意解約申し込みの意思表示と解される。したがって、これに対して使用者が承諾の意思表示をし、雇用契約終了の効果が発生するまでは、使用者に不測の損害を与えるなど信義に反すると認められるような特段の事情がない限り、被用者は自由にこれを撤回することができるものと解するのが相当である。 これを本件についてみると、前示疏明事実を総合すれば、債務者は、昭和六二年一二月一二日の社長名による通知書を債権者に発したことによって初めて退職承諾の意思表示をしたものとみるべきであり、かつ、この承諾は、債権者がそれより前の同月九日に撤回届を提出し、合意解約申し入れの意思表示を撤回しているから、撤回後の退職承諾となってもはや法的意義を有しないといわなければならない。そして、債権者の撤回届の提出は本件退職願提出のときから一週間の日時を経過してはいるが、それは、退職願を提出した翌日A副委員長が債権者に代わって撤回届を持参した際B常務が不在であったり、C取締役から相手にしてもらえなかったりしたこと、その後労働組合が債権者の撤回の意思を伝えて債務者と団体交渉を継続していたことなどの事情によるものと認められ、他に使用者である債務者に不測の損害を与えるなど信義に反するような特段の事情は見当たらない。 |