ID番号 | : | 04074 |
事件名 | : | 懲戒処分取消請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 中国郵政局事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 懲戒処分につき人事院の修正裁決がなされた後も、処分事由の不存在を理由に本件修正後の懲戒処分の取消しを求めることができるか否かが争われた事例。 |
参照法条 | : | 国家公務員法82条 国家公務員法92条1項 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 処分無効確認の訴え等 |
裁判年月日 | : | 1987年4月21日 |
裁判所名 | : | 最高三小 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和59年 (行ツ) 68 |
裁判結果 | : | 破棄・差戻・自判 |
出典 | : | 民集41巻3号309頁/時報1240号136頁/タイムズ641号90頁/労働判例496号10頁/訟務月報33巻10号2559頁/裁判所時報960号1頁/金融商事798号37頁/裁判集民150号773頁 |
審級関係 | : | 控訴審/広島高松江支/昭59. 2.29/昭和58年(行コ)1号 |
評釈論文 | : | 榊忠照・私法学研究〔駒沢大学〕20号63~86頁1996年6月/人見剛・行政判例百選〔2〕<第3版>〔別冊ジュリスト123〕354~355頁1993年5月/人見剛・行政判例百選〔2〕<第4版>〔別冊ジュリスト151〕378~379頁1999年3月/青柳馨・昭和62年度主要民事判例解説〔判例タイムズ臨時増刊677〕344~345頁1988年12月/石川善則・ジュリスト893号76~77頁1987年9月15日/石川善則・法曹時報42巻6号162~176頁1990年6月/大橋洋一・法政研究〔九州大学〕56巻1号 |
判決理由 | : | 〔懲戒・懲戒解雇-処分無効確認の訴え等〕 国公法によれば、職員は、懲戒処分等同法八九条一項所定の処分を受けたときは、人事院に対して行政不服審査法による不服申立をすることができ(九〇条)、人事院が右不服申立を受理したときは、人事院又はその定める機関においてその事案を調査し(九一条)、その調査の結果、処分を行うべき事由のあることが判明したときは、人事院は、その処分を承認し、又はその裁量により修正しなければならず(九二条一項)、また、右調査の結果、その職員に処分を受けるべき事由のないことが判明したときは、人事院は、その処分を取り消し、職員としての権利を回復するために必要で、かつ適切な処置をし、及びその職員がその処分によつて受けた不当な処置を是正しなければならないものとされている(九二条二項)。 右のような規定をみると、国公法は、懲戒処分等同法八九条一項所定の処分に対する不服申立の審査については、処分権者が職員に一定の処分事由が存在するとして処分権限を発動したことの適法性及び妥当性の審査と、当該処分事由に基づき職員に対しいかなる法律効果を伴う処分を課するかという処分の種類及び量定の選択、決定に関する適法性及び妥当性の審査とを分けて考え、当該処分につき処分権限を発動すべき事由が存在すると認める場合には、処分権者の処分権限発動の意思決定そのものについてはこれを承認したうえ、処分権者が選択、決定した処分の種類及び量定の面について、その適法性及び妥当性を判断し、人事院の裁量により右の点に関する処分権者の意思決定の内容に変更を加えることができるものとし、これを処分の「修正」という用語で表現しているものと解するのが相当である。 そうすると、懲戒処分につき人事院の修正裁決があつた場合に、それにより懲戒権者の行つた懲戒処分(以下「原処分」という。)が一体として取り消されて消滅し、人事院において新たな内容の懲戒処分をしたものと解するのは相当でなく、修正裁決は、原処分を行つた懲戒権者の懲戒権の発動に関する意思決定を承認し、これに基づく原処分の存在を前提としたうえで、原処分の法律効果の内容を一定の限度のものに変更する効果を生ぜしめるにすぎないものであり、これにより、原処分は、当初から修正裁決による修正どおりの法律効果を伴う懲戒処分として存在していたものとみなされることになるものと解すべきである。 |