ID番号 | : | 04081 |
事件名 | : | 懲戒処分取消請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 福岡県教育委員会事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | ストライキに参加した教職員に対して、市教育委員会の内申書抜きでなされた懲戒処分につきその効力が争われた事例。 |
参照法条 | : | 地方教育行政の組織及び運営に関する法律37条1項 地方教育行政の組織及び運営に関する法律38条1項 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 違法争議行為・組合活動 |
裁判年月日 | : | 1986年3月13日 |
裁判所名 | : | 最高一小 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和57年 (行ツ) 78 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 民集40巻2号258頁/時報1187号24頁/タイムズ600号50頁/労働判例470号16頁/裁判所時報937号1頁/判例地方自治17号41頁/裁判集民147号263頁 |
審級関係 | : | 控訴審/01975/福岡高/昭56.11.27/昭和53年(行コ)2号 |
評釈論文 | : | 浦野東洋一・教育判例百選<第3版>〔別冊ジュリスト118〕216~217頁1992年7月/今橋盛勝・昭和61年度重要判例解説〔ジュリスト臨時増刊887〕48~50頁1987年6月/佐藤久夫・法曹時報41巻8号244~258頁1989年8月/小高剛・ジュリスト866号104~109頁1986年8月1日/小島喜孝・季刊教育法63号145~151頁1986年7月/成田頼明・行政判例百選〔1〕<第2版>〔別冊ジュリスト92〕98~99頁1987年5月/成田頼明・行政判例百選〔1〕<第3版>〔別冊ジュリスト122〕 |
判決理由 | : | 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-違法争議行為・組合活動〕 地教行法三八条一項所定の市町村教委の内申は、県費負担教職員について任命権を行使するための手続要件をなすものというべきであり、したがつて、都道府県教委が県費負担教職員に対し、その非違行為を理由に懲戒処分をするためには、当該教職員に関する市町村教委の処分内申が必要であり、その内申なしに処分を行うことは許されないのが原則であるといわなければならない。しかし、この内申制度は、県費負担教職員の服務を監督する権限を有する者が市町村教委であることから、教職員の身近にいてその服務状態を熟知している市町村教委の意見を都道府県教委の任命権の行使に反映させることにより、市町村教委にその服務監督の実質を保持させることとした趣旨であるから、市町村教委が、教職員の非違などに関し右内申をしないことが、服務監督者としてとるべき措置を怠るものであり、人事管理上著しく適正を欠くと認められる場合にまで、右原則どおり市町村教委の内申がない限り任命権を行使しえないとすることには合理性があるとはいえない。けだし、地教行法上、市町村教委は、県費負担教職員の服務上の監督者として、その人事行政につき責任の一部を分担するものであり、服務監督権の行使の一環として法律上認められた内申の権限を適正に行使すべき責務を負うものというべきであって、右の場合のように、市町村教委がその責務に反して内申をしないために、都道府県教委による適正な任命権の行使が不可能となることを、地教行法が容認していると解することはできないからである。したがつて、かかる場合には、都道府県教委としては、県費負担教職員に関する人事行政上の目的を達成するためのやむをえない措置として、例外的に、市町村教委の内申がなくてもその任命権を行使することができると解するのが相当である。 |