ID番号 | : | 04091 |
事件名 | : | 地位確認等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 帝国データバンク事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 調査費用の不正受給を理由に退職勧奨をうけ、退職願の提出をした後、右退職勧奨を違法として退職の意思表示が無効であると主張されたケースにつき、退職勧奨は違法とはいえず退職金も受領しているとして、右意思表示が有効とされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 |
体系項目 | : | 退職 / 任意退職 退職 / 退職勧奨 |
裁判年月日 | : | 1985年1月30日 |
裁判所名 | : | 岐阜地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和54年 (ワ) 225 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労働判例449号59頁/労経速報1212号18頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 小宮文人・労働法律旬報1133号43~50頁1985年12月10日 |
判決理由 | : | 〔退職-任意退職〕 〔退職-退職勧奨〕 右のような事実関係の下では、本件事情聴取の過程で被告側の者が原告に対し若干糾問的態度をとった上、原告の行為が懲戒解雇事由に該当するとして原告に退職を勧奨したとしても、原告に上記の懲戒解雇事由が存在した以上やむを得ないところであって、むしろ上記認定事実によれば、A取締役は前記事情聴取において被告側で調査した事実を示しながら原告の弁解を聴取した上で、一定の考慮期間をおく任意退職を恩情的に勧奨したものであるから、このような退職勧奨をもって公序良俗に違反する退職強制とすることはできず、また、右退職の意思表示が被告側による強迫によってなされたと認めることもできない。原告の所属していた新労の役員が原告に対しとった言動の具体的内容は定かでないが、仮に彼らが原告主張のような言動をなしていたとしても、彼らがそのような挙に出るに至るまでの経緯は前示認定のとおりであり、かかる事実関係の下では、原告が右労組の役員の言動により自由な判断力を喪失するに至ったとは到底解し難く、更にB支店長が特に原告を強迫したというような事情も認められない。なお、B支店長が正規に閲覧申請権が認められていない不動産登記簿乙号申請書類綴込帳を閲覧したことによって収集した資料を基に、原告に対する退職勧奨をしたとの点については、右Bによる閲覧が法務局担当官の了承の下に閲覧しているものであって何ら違法の節が認められない以上、右のような資料収集があったということのみから被告による退職勧奨が違法とされる理由はないといわねばならない。 そうすると、被告の退職勧奨をもって公序良俗に反する違法な退職強制であることを前提として、原告の本件退職願の提出による退職の意思表示が効果意思を欠くとする原告の主張は、その前提において失当であるうえ、原告がその当時被告による退職勧奨をやむを得ないものとして受入れて本件退職願を被告に提出し、その後退職金も受領したものであることは上記認定のとおりであるから、原告による本件退職の意思表示にその効果意思を欠くものとは到底認めることができない。 |