ID番号 | : | 04098 |
事件名 | : | 地位保全金員支払仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 有元重量運輸事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 暴行、飲酒運転等を理由とする懲戒解雇につき、解雇権濫用にあたり無効とされ、また予備的になされた普通解雇も権利濫用にあたり無効とされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 労働基準法89条1項9号 民法1条3項 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒権の濫用 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 暴力・暴行・暴言 解雇(民事) / 解雇事由 / 暴力・暴行・暴言 解雇(民事) / 解雇権の濫用 |
裁判年月日 | : | 1985年3月8日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 昭和59年 (ヨ) 1807 |
裁判結果 | : | 一部認容 |
出典 | : | 労働判例454号51頁/労経速報1231号12頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒権の濫用〕 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-暴力・暴行・暴言〕 そこで、本件懲戒解雇が解雇権の濫用に当たるか否か検討するに、就業規則七一条二項には、同時に一種以上の懲戒に該当する行為があった場合には、事情によりその内の最も重い種類の懲戒より更に一等重く懲戒する旨の規定が存する。ところで、右規定は同時に数種の懲戒に該当する行為があった場合に適用されるものであるが、本件のように異時に懲戒に該当する数個の行為があり、これらの行為全体に対して一個の懲戒を課する場合にも同条項は類推適用されると解すべきである。 そうすると、被申請人の主張する懲戒事由については、減給処分以下で懲戒を課するのが社会通念上相当である行為が最も重い懲戒事由であるから、申請人に対し減給処分より一等重い出勤停止処分を越えた懲戒を課することはできず、これに反してなされた本件懲戒解雇処分は解雇権を濫用してなされたもので無効である。 〔解雇-解雇事由-暴力・暴行〕 〔解雇-解雇権の濫用〕 そこで同主張を判断するに、就業規則二四条一号ないし九号規定の事由は、いずれも、従業員に解雇せざるを得ない程度の就業に適さない能力又は意欲不足が存する場合、被申請人の事業が従業員を解雇せざるを得ない程度に継続不可能又は剰員となった場合、若しくは解雇せざるを得ない程度の従業員の誓約に反する行為があった場合と解すべきであるから、同条一〇号の「前各号に準ずる理由があるとき」には、これらに類した事由が該当するところ、本件懲戒事由が「その他前各号に準ずる理由があるとき」に当たるとの被申請人の主張は、それらの事由が、事業継続不可能・剰員事由に当たるとか誓約違反に当たるとの主張ではなく、申請人に解雇をせざるを得ない程度の就業に適さない事由が存する場合に当たるとの主張と解され得る。また、就業規則二四条一〇号の「服務規律に違反したとき」に該当する場合とは、従業員を解雇せざるを得ない程度の服務規律違反があった場合をいうと解すべきである。そうすると、前記二の1ないし8において一応認定した事実及び検討の結果を総合判断するならば、前記認定の申請人の各行為の存在をもっては未だ申請人に解雇をせざるを得ない程度の就業に適さない事由が存在するということはできないし、その服務規律違反行為も申請人を解雇せざるを得ない程度のものではないから、被申請人の普通解雇の主張も失当である。 |