ID番号 | : | 04106 |
事件名 | : | 地位保全仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 協同組合行田給食センター事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 出入業者に対する暴言、暴行を理由とする解雇につき、権利濫用にあたり無効とされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 民法1条3項 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / 解雇事由 / 暴力・暴行・暴言 解雇(民事) / 解雇権の濫用 |
裁判年月日 | : | 1985年4月12日 |
裁判所名 | : | 浦和地熊谷支 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和56年 (ヨ) 84 |
裁判結果 | : | 認容 |
出典 | : | 労働判例458号49頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔解雇-解雇事由-暴力・暴行〕 〔解雇-解雇権の濫用〕 債権者のした暴言・暴力行為及び職務の放棄は、就業規則五条(従業員は労働時間中私用のため勤務場所を離れてはならない)、一〇条一〇号(事業関係者又は他の従業員に暴行脅迫を加え又はその業務を妨害してはならない)に違反し、前記六一条一一号、一五号に該当するものと認められる。 そして、債権者が、暴言・暴力行為につき、債務者に対し謝罪せず、A部長からの事情聴取に対し自分の言い分を強く主張し、始末書を提出しなかったことは前記認定のとおりである。 以上によれば、本件暴言・暴行について、債権者にも多分に非の存することは明らかであり、債権者のその後の対応にも誠実さに欠ける点があったことは否めない。 しかしながら、債権者とBとはかねてから対立関係にあったものの、本件暴言・暴行は偶発的なものであること、暴言・暴力行為により債権者が職務を放棄したのは、時間的にはわずかなものであること、債権者とBの債務者内における身分の相違やBは本件暴言・暴行につき、債務者に対し謝罪していることなどを考慮にいれても、両者に対する処分は均衡を失していると考えられること、事情聴取に対する債権者の前記対応や始末書の提出を拒否したことが就業規則六一条一一号にいう―職務上の指示命令に不当に従わないとき―に該当するかどうか疑問であり、雇用関係の継続に困難を生ぜしめる程度に重大なものとは考えられないこと、債権者の平常の勤務成績は、従業員の平均より上位にあること(この事実は、<証拠略>により認める)などを考慮すると、債権者を解雇することは酷にすぎ、合理的裁量の範囲を逸脱したものといわざるを得ない。 |