ID番号 | : | 04111 |
事件名 | : | 処分効力停止仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 大阪相互タクシー事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 時間内組合活動を理由とする、タクシー運転手に対する下車勤務六日間の懲戒処分につき効力停止の仮処分が申請された事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項9号 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 処分無効確認の訴え等 |
裁判年月日 | : | 1985年5月14日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 昭和60年 (ヨ) 1870 |
裁判結果 | : | 却下 |
出典 | : | 労働判例455号59頁/労経速報1226号26頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔懲戒・懲戒解雇-処分無効確認の訴え等〕 本件は懲戒処分としての職種変更処分の効力の停止という仮の地位を定める仮処分であり、その必要性は、権利関係が確定しないために生ずる申請人の著しい損害を避け、または、急迫な強暴を防ぐ必要がある場合に存するものである。 そこで、被保全権利の存否の判断はこれを暫時措くこととして、保全の必要性の存否について判断するに、右疎明された事実によれば、申請人は、本件処分により乗務ができないために、約一〇万円の賃金の減収を蒙り、経済的損失を受けることは否めない。しかしながら、本件処分により蒙る申請人の経済的損失については、後日本案訴訟において、本件処分の無効を前提として被申請人に対しこれを請求できるものであるところ、乗務員として日頃から水揚が多く、したがって賃金も高い申請人が、右の程度の一時的な減収により、生活に困窮し、本案判決を待っていては回復し難い損害を蒙るとは考え難く、また、これを疎明するに足りる資料もない。 次に、組合活動上の不利益については、前示の勤務時間等の関係からして、申請人は本件処分によりその組合活動にあたって相当程度の制約を受けることが窺われる。しかしながら、申請人の加入している組合は、一〇七名の被申請人従業員(乗務員のみ)で組織され、組合役員も定められて活発な活動をしている組合であることが疎明資料により一応認められるところ、申請人が本件処分により前示の予定された会議に出席できず、平常に比較して組合活動を十二分にできないとしても、右不利益は僅か六日間のことに過ぎず、その間、執行委員長としてなすべき職責は他の組合役員によって代替することができるし、また、申請人の勤務時間外に組合役員、組合員との連絡をとることもできるのであるから、右の組合活動状況、本件処分の期間、態様等に鑑みれば、本件処分が申請人の組合活動に著しい打撃を与え、回復困難な損害をもたらすとは言い難い。そして、他に本件仮処分の必要性を疎明するに足りる資料はない。 四 そうすると、申請人の本件仮処分申請は、被保全権利についてはともかくとして、保全の必要性についての疎明がなく、保証を立てさせて疎明に代えることも相当でないから、これを却下する。 |