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ID番号 04115
事件名 懲戒免職取消請求控訴事件
いわゆる事件名 山口県教委事件
争点
事案概要  毛沢東をたたえた政治教育をやったとしてなされた中学教師に対する懲戒免職処分の効力が争われた事例。
参照法条 地方公務員法29条1項1号
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 業務命令拒否・違反
裁判年月日 1985年5月31日
裁判所名 広島高
裁判形式 判決
事件番号 昭和52年 (行コ) 5 
裁判結果 棄却
出典 行裁例集36巻5号760頁/労働判例457号29頁/労経速報1236号4頁
審級関係 一審/山口地/昭52. 7.21/昭和48年(行ウ)1号
評釈論文 椎名慎太郎・教育判例百選<第3版>〔別冊ジュリスト118〕42~43頁1992年7月/椎名慎太郎・自治研究63巻3号121~130頁1987年3月
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-業務命令拒否・違反〕
 控訴人の前記行為は、毛沢東思想の正しさを強調する方法により、日本の内閣、政権を担当する特定の政党に反対する政治教育をしたことに当たる。ところで、毛沢東思想は中国の共産党がこれに立脚する思想であるから、その立場による政治教育が右法条にいう特定の政党を支持したことになるかについて考えるに、毛沢東思想は個性的で偉大な共産主義思想であるところ、我が国にも共産主義、社会主義を政治目標とする政党が存在し、殊に、特定の政党の中の一部には毛沢東思想と緊密な思想的関係を持つ者もあるのであって、毛沢東思想と中国共産党の主義による政治教育は、教育基本法八条二項の特定の政党を支持する政治教育をしてはならないとの趣旨に抵触するといえる。
 (中略)
 昭和四四年前後毛沢東思想を標榜して過激な行動に走ったグループのあったことはさきに述べたとおりであり、このような当時の時代背景をもとに考えると、控訴人が生徒に対し毛沢東思想による政治教育をし毛語録を配布したという事実を知った被控訴人は、その及ぼす影響について深い憂慮危惧をいだき、控訴人の行為は強い非難に価すると考えたと認められ、前記五で認定した事情を併せ考慮すると、被控訴人が控訴人を本件免職処分にしたことは社会観念上著しく妥当を欠くとはいえず、したがって被控訴人に裁量権の濫用があったとはいえない。
 3 よって、被控訴人が昭和四五年一月七日地方公務員法二九条一項一号により控訴人を本件免職処分にしたことは適法である。