全 情 報

ID番号 04130
事件名 不当解雇にもとづく損害賠償請求事件
いわゆる事件名 日本鋼管事件
争点
事案概要  会社による解雇が不当であったとして右解雇によってこうむった損害につき会社に対して賠償を求めた事例。
参照法条 労働基準法2章
民法709条
体系項目 解雇(民事) / 解雇と争訟・付調停
裁判年月日 1985年9月26日
裁判所名 横浜地川崎支
裁判形式 判決
事件番号 昭和51年 (ワ) 216 
裁判結果 棄却
出典 労働民例集36巻4・5合併号595頁/労働判例460号7頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔解雇-解雇と争訟〕
 前記三1(二)(1)ないし(4)の経過に見たとおり、被告会社は、原告らの意を受けたA労組の説明や確認に基づき、同組合を唯一の窓口として交渉を重ね、同組合の提案を受けて、右交渉における一切の問題を解決することを条件に本件解決金の支払いに応ずることとしたものであること、前記のとおり、委任の解除としては、本件委任のうち、本件賠償及び謝罪の要求についての交渉、解決の部分のみ解除することも可能といわざるを得ないが、本件解決金の支払いは、右要求とA労組に対する賠償及び謝罪の要求を一括して解決するものであるところ、右解除はこれを全て無効とする(被告会社と原告らの間では無権代理であるが、被告会社とA労組の間では錯誤無効。)ものであること、原告らの前記解除は、本件合意のうち、職場復帰や未払賃金の支払い等の成果は享有する一方、不満な部分のみを排除するものであること、また、右解除は、右に見たような原告らの内部事情のみから、団体交渉での了解は既に見て、機関決定のみを残す段階に至ってなされたものであることなどに鑑れば、原告らが被告会社に対し右解除の効果を主張し得るとすることは著しく公平を失し、信義則に照らし、右主張はなし得ないものと言わざるを得ない。
 六 結論
 以上のとおりであるから、本件不法行為に基づく原告らの損害賠償請求権は既に和解により消滅したものというべきであり、その余の点について判断するまでもなく、原告らの本訴請求は理由がない。