ID番号 | : | 04136 |
事件名 | : | 地位保全等仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 三港陸運事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 経営不振を理由とする生コン運転手(組合役員)に対する整理解雇の効力が争われた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項3号 労働組合法7条1号 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / 整理解雇 / 協議説得義務 |
裁判年月日 | : | 1985年10月11日 |
裁判所名 | : | 津地四日市支 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和59年 (ヨ) 144 |
裁判結果 | : | 認容 |
出典 | : | 労働判例471号69頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔解雇-整理解雇-協議説得義務〕 被申請人は、その事業縮少、経営悪化により人員整理をなすべき経営上の必要性が存したため本件解雇に及んだものである旨主張する。しかしながら、被申請人の経営が苦しくなったのは昭和五九年二月ころからであるところ、その主たる原因が従業員による他社応援の仕事の減少にあるというのであるから、被申請人は組合分会との間で応援手当等に関する団体交渉を重ね、妥協点を見出すことによって従業員による応援の再開も十分可能であると考えられるのにかかわらず、自己の主張を固執し、組合分会との団体交渉によって事態を解決しようとせず、むしろ組合分会員らに反撥感を生じさせる行為を重ね、その拒否的態度を硬化させてきたものということができる。また、A会社生コン輸送部門の営業廃止は経営上大きな減収をもたらしたことは前認定のとおりであるが、これが輸送を担当していた横浜事業所の閉鎖により、同所の従業員は全員解雇になり、当然これらに見合う経費は不要となっており、右の点にA会社生コン輸送部門は従前必ずしも他の部門にまわせるほどの営業利益をあげていたとは思われないことを併せ考慮すれば、右部門の営業廃止が被申請人の経営を圧迫する要因となったとはにわかに断定できない。以上を要するに、昭和五九年一一月当時、被申請人において必ずしも人員整理を必要とする余剰人員はなく、ひいては就業規則上のやむを得ない事由も存しないのに、且つ整理解雇のための十分な手続を経ることもなく、早急に本件解雇に至ったものというべきであるから、被申請人主張の経営悪化は本件解雇が不当労働行為にあたるとの前記認定を左右するものではない。従って、被申請人の右主張は採用することができない。 |