全 情 報

ID番号 04139
事件名 労働契約関係存在確認事件/賃金支払請求事件
いわゆる事件名 岡山自動車教習所事件
争点
事案概要  業務妨害、会社役員を誹謗中傷する組合文書の配布、安全会資金の組合資金への流用を理由とする従業員の懲戒解雇の効力が争われた事例。
参照法条 労働基準法89条1項9号
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 会社中傷・名誉毀損
懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 業務妨害
懲戒・懲戒解雇 / 懲戒権の限界
裁判年月日 1985年11月27日
裁判所名 岡山地
裁判形式 判決
事件番号 昭和58年 (ワ) 60 
裁判結果 棄却
出典 労働判例465号24頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-業務妨害〕
 原告の前記(一)ないし(四)の所為はいずれも近接した時期に行われており、しかも被告の業務命令に反し殊更にかかる業務妨害的な行為を反覆しているのであって、いずれも企業内の秩序を乱すものであり、(四)の教習妨害行為は、自動車教習所の運転技能指導員として有るまじき不適切な行為といわざるを得ない。これらの結果、本件解雇に至る以前において、懲戒解雇に次いで重い減俸処分を二回受けている点についても被告としてはけだしやむを得ない処分であったものと認めることができる。
〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-会社中傷・名誉毀損〕
 右文書の内容を子細に見てみると、その一部には、被告が団体交渉に応じない等といった事実に反する誇張的表現によって被告を一方的に非難し、被告の会社役員を個人的に誹謗中傷する部分が含まれており、当該文書を読む者にとって、被告及びその役員に関し、誤解を生じさせる虞れが十分あるものと認められ、かつその記載内容からして被告の信用を失墜させるものであり、しかもその送付先等にも鑑みれば、右文書の送付は労働組合の情宣活動の域を逸脱したものといわざるを得ない。
〔懲戒・懲戒解雇-懲戒権の限界〕
 従業員に懲戒事由に該当する事実があると認められる場合、使用者にはいかなる懲戒処分を選択するかについて一定の裁量が認められるところであるが、当該処分とその原因となった行為との対比において著しく均衡を失し、社会通念に照らして合理性を欠く等によって裁量の範囲を超えてされたものでない限り、その効力を否定することはできないと解すべきである。