ID番号 | : | 04146 |
事件名 | : | 行政処分取消請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 福岡県教組事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 違法争議行為の企画・指導等を理由とする戒告・減給処分が有効とされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項9号 地方公務員法29条 地方公務員法37条1項 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒権の濫用 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 違法争議行為・組合活動 |
裁判年月日 | : | 1985年12月26日 |
裁判所名 | : | 福岡地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和46年 (行ウ) 36 |
裁判結果 | : | 棄却(控訴) |
出典 | : | 労働判例468号16頁/訟務月報32巻9号2145頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-違法争議行為・組合活動〕 右認定事実に従えば、本件各争議行為当時に至るまでの人事院等の勧告による公務員給与引上げの状況は、実施時期の点において勧告どおりの完全実施が行われず多少の遅れを見たものの、引上率の点では勧告どおりの実施が行われているのであって、必ずしも十全とはいえないまでも、代償措置としてそれなりの機能は一応これを果しているものということができる。加うるに代償措置の制度としては、右の人事院等の給与引上げの勧告制度のみでなく、そのほかにも地方公務員は前述のように地公法上身分、任免、服務その他の勤務条件についてその利益保障を享受しているのであって、この点も代償措置制度の一環をなすものであることを併せ考えると、現行の代償措置制度は本件各争議行為当時実際の運用上も相応の機能を果していたものといいうる。 原告らは現行の代償措置制度が地方公務員の争議権制約に見合う措置として実際の運用上その機能を全く喪失しているか不完全にしか機能していないとして、その機能回復を目的としてなされた本件各争議行為は違法でない旨主張するが、右主張はその前提を欠き失当といわなければならない。 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒権の濫用〕 (証拠略)及び弁論の全趣旨並びに本件各処分の状況を総合すれば、被告は本件各処分に際し、単純参加一回につき戒告、二回につき減給一月を原則とし、離脱時間の短いことを軽減事由とし、組合役職者等指導的地位にあること(本部役員、支部三役)を加重事由としてこれに修正を加える懲戒基準の下に処分を行ったが、本件各処分を受けた原告らのうち単純参加者としての最高処分は減給一月で、組合役職者としてのそれは停職三月であり、従来の処分、他の任命権者の処分、他府県の処分に比しかなり重いといえる面の存すること、しかもこれらの処分には、すべて昇給延伸を伴うものであること、また、以前の争議行為においては処分の対象の範囲が主に指導的立場の組合幹部に限定してなされ、本件のように単純参加者を含めた大量処分がなされることは異例に属することが認められるが、しかし、本件各争議行為は前述のように計画的、組織的に傘下組合員である多数の教職員を動員して全県にわたり一斉に統一実力行使に突入したもので、その回数、規模、態様等において大々的なものがあり、児童、生徒や父兄延いては地域社会に与えた影響の少からぬことを考慮すると、本件各処分は未だ社会観念上著しく裁量権の範囲を逸脱し妥当性を欠いた苛酷な処分であるともいい難い。その他、本件全証拠によるも、原告らの主張するように被告が本件各処分をするに際し、福教組北九州支部の組織を破壊する意図を有していたという事実も認めることはできない。 以上のとおり本件各処分を以て懲戒権を濫用した違法な処分であるとすることはできず、原告らの右主張も採用できない。 |