ID番号 | : | 04155 |
事件名 | : | 賃金等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 北海道炭砿汽船事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 期末手当に関する協定において、「期末手当は大手四社妥結額と同額とし、うち五五パーセントは年内に支払い、残額は昭和五五年度中に支払う」旨の秘密の議事確認がある場合につき、右確認は停止条件付請求権を定めたもので、右条件が成就していないとして期末手当の請求が棄却された事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法24条 |
体系項目 | : | 賃金(民事) / 賞与・ボーナス・一時金 / 賞与請求権 |
裁判年月日 | : | 1984年12月17日 |
裁判所名 | : | 札幌地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和57年 (ワ) 2998 昭和57年 (ワ) 3214 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労働判例451号54頁 |
審級関係 | : | 控訴審/札幌高/昭62.12.24/昭和60年(ネ)32号 |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔賃金-賞与・ボーナス・一時金-賞与請求権〕 4の(一)及び(二)に認定した事実によれば、被告は、昭和五一年当時、既に倒産直前の経営危機に陥っており、政府、金融機関及びユーザーの支援を得て再建計画を達成しなければ当時の窮境から脱却できない状況にあったことに加え、政府(石炭鉱業審議会)から被告の依存的体質が鋭く指摘されていたうえ、厳しい再建への自己努力を求められていたので、昭和五一年度及び昭和五二年度の上期及び下期の各期末手当を大手四社妥結額と同額とすることは、被告にとってはまず不可能なことであり、被告の経営状況が好転した場合に較差額を支払うなどと考えること自体、政府らから緊急事態に対する労使双方の認識の甘さを追及され、その支援を得られなくなるおそれがあり、そのためにマル秘の裏協定を締結する必要があったのであるが、組合側の強い要求があって、被告としても、組合側の労働意欲や会社の将来に対する期待を維持させるためにも、厳しい労働条件の下で再建計画に協力する組合側の要求を受け入れようという気持になり、労使双方で十分に協議したうえ、昭和五一年度上期及び下期の各期末手当については大手四社妥結額の五五パーセント相当額を、昭和五二年度上期及び下期の各期末手当については大手四社妥結額の六〇パーセント相当額を、それぞれ当該年度に確実に支払い、大手四社妥結額と右の期末手当額との較差額については昭和五一年一〇月一九日付け各協定書にも「但し、較差分については、経営状況が好転した場合に考慮する。」と記載されているように、被告の経営状況が好転することを停止条件として、3の各議事確認等に定めた弁済期に支払うことを合意したもの(この停止条件が右の支払期限までに成就する可能性はほとんどなく、したがって、この条件に係る期末手当較差額請求権の権利性が極めて希薄であったことは否定できないけれども、当時の被告の経営状況、労使間の交渉の経緯等から考えると、このような趣旨で労使が期末手当較差額の支払について各協定を締結したことも、けだしやむを得なかったものとして首肯し得ないわけではない。)と認めるのが相当である(したがって、3の各議事確認等による協定が、被告主張のように、期末手当較差額の支払債務を承認する確定的な意思を表示したものではないとか、被告に較差額を支払う意思がなかったから心裡留保による意思表示であるとか、自然債務であると認めることはできない。)。 6 そうすると、昭和五一年度及び昭和五二年度の上期及び下期の各期末手当について大手四社妥結額と被告から支払を受けた期末手当額との較差額の支払を求める原告らの請求は、その支払の合意に付された停止条件の成就について主張・立証がないので理由がない。 |