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ID番号 04160
事件名 懲戒停職処分無効確認請求控訴事件
いわゆる事件名 動労四国地本事件
争点
事案概要  動労地方本部および支部の役員が、年末手当等の要求の他、安全設備の改善要求等を目的とする安全運転闘争を指令したことにつき右役員が懲戒停職とされた事例。
参照法条 公共企業体等労働関係法17条1項
日本国有鉄道法31条1項
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 違法争議行為・組合活動
懲戒・懲戒解雇 / 懲戒権の濫用
裁判年月日 1970年1月22日
裁判所名 高松高
裁判形式 判決
事件番号 昭和41年 (ネ) 191 
裁判結果 一部棄却,一部認容
出典 労働民例集21巻1号37頁/教職員人事判例6号805頁
審級関係 一審/04380/高松地/昭41. 5.31/昭和37年(ワ)135号
評釈論文 宮本安美・法学研究〔慶応大学〕47巻7号75頁/宮本安美・労働判例百選<第三版>〔別冊ジュリスト45号〕228頁
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-違法争議行為・組合活動〕
 一審原告等の指令にかかる本件安全運転は、右に見た如く運心、並びに服務規程に違反するものであり、これを強行することはとりも直さず右運心等に従って平素行なわれている基準運転と異なる運転方法を強行することとなるものであり、殊に原審証人Aの証言によると、列車整理の為、遅延している列車の乗務員に対し列車指令より駅長を介して回復指令のなされることが認められるが、一審原告等のなした本件安全運転指令に於ては回復運転は行なわないこととされているのであるから、右安全運転指令は少くともこの範囲に於て列車指令による運転管理を排除することとなるわけである。而して斯様な事態は一審被告の企業秩序を破る不当、違法な事態であることはいうまでもなく、本件安全運転闘争が、仮令保安設備の改善を要求する為のものであり、乗務員及び公衆の生命身体の安全を確保するという正当な動機目的の為に行なわれるものであるとしても、そのことの故に直ちに右違法な事態を惹起せしめたことに対する一審原告等の責任を阻却するものでないことはいうまでもない。そして斯様に一審被告の企業秩序を乱し、その結果先に認定の如く多くの列車遅延を生ぜしめた一審原告等の行為は成立に争いのない乙第二号証の三によつて認められる懲戒規定六条一七号所定の「著しく不都合な行為」に該当するものと認められる。
〔懲戒・懲戒解雇-懲戒権の濫用〕
 凡そ懲戒権はその性質上、企業秩序を維持し業務の正常な運営を確保する為に客観的に見て必要最少限の範囲内に止められるべきことはいうまでもない。そして懲戒に値する行為があつた場合に、これに対して如何なる制裁を課するかは、秩序違反の程度のみならず、その動機、目的、態様のほか、当該職員の秩序違反行為への参加の仕方、当該職員の地位、懲戒処分によつて受ける不利益の程度等諸般の事情を考慮して決すべく、且その処分は右の事情に照し合理的妥当性のあるものであることを要し、若しその裁量の程度を著しく越え合理的妥当性を欠くものであるときは斯る処分は懲戒権の濫用として無効というべきである。