ID番号 | : | 04161 |
事件名 | : | 仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 医療法人健康会事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 新病院建設資金の借入先等の機密をもらした共産党員に対する懲戒解雇の効力が争われた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項9号 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 守秘義務違反 |
裁判年月日 | : | 1970年1月23日 |
裁判所名 | : | 京都地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和41年 (ヨ) 242 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | タイムズ244号226頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-守秘義務違反〕 一般企業体において、資金の借入先やその具体的内容が機密事項とされていることは首肯できることであり、それは病院企業においても例外ではないと考えられるところ、以上の事実から右各ビラに記載されていた新病院建設資金に関する借入及び弁済方法に関する事項は被申請人の業務上の機密に属したものと言わざるを得ない。 (中略) 被申請人にとつて新病院建設はその存立にかかわるほどの重大な業務であつたこと、ならびに、申請人は、その企画、立案などに終始参与し、右建設に批判的意見を表明した後も意見は別として建設業務の遂行には協力する旨確約したにもかかわらず、建設遂行がすでに動かせない段階において、そのことを知りながら、敢えて、従前の被申請人における地位、および、それによつて得た知識を逆用して、右建設を妨害、ないし、阻止しようとする行動に加担し、その後も聊かの反省の情もなく、右の態度を固執したものであつたことその他前記懲戒該当行為の態様及び情状を考察するならば、その行為は、被申請人に対する重大な背信、かつ反逆であり、従前の貢献を張消しにするほどの性質を帯有していたというべきであるから、被申請人が申請人を企業体から排除するほかはないと断定し、退職金を支給しない即時解雇に該る懲戒解雇をもつて処分したことは、必ずしも、懲戒権の濫用であるとは解し難い。 |