ID番号 | : | 04162 |
事件名 | : | 損害賠償請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 忠臣損害賠償事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 労働災害により死亡した者の遺族が使用者の安全配慮義務違反を理由に損害賠償を請求した事例。 |
参照法条 | : | 民法415条 労働基準法2章 |
体系項目 | : | 労働契約(民事) / 労働契約上の権利義務 / 安全配慮(保護)義務・使用者の責任 |
裁判年月日 | : | 1970年1月27日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和42年 (ワ) 4070 |
裁判結果 | : | |
出典 | : | タイムズ247号279頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労働契約-労働契約上の権利義務-安全配慮(保護)義務・使用者の責任〕 被告は、右契約により当然その附随的義務として忠臣に対し労務提供の過程における生命や健康等を害させることのないように物的設備、環境等に配慮し改善する等の義務を負うに至つたことは否定できない。そして、このような使用者の義務は、使用者が労働者を雇傭して企業を維持している限り、常に継続して負担すべき義務である。しかしながら、本件のような事故が発生した場合、このことが直ちに使用者たる被告の債務不履行(おそらくは不定金履行に該る)と解しうるかは疑問である。債務不履行にいう債務とは、契約当事者が契約において明示もしくは黙示に予定した、あるいは信義則上予定されたと認められる具体的な一定の給付義務であると考えるが、使用者の負う先の義務は、右の債務とはいささか異質なもので一般的かつ抽象性の強い義務であるから、原告としては、本件事故が右にいう債務といえるまでの被告の具体的な安全保護義務の違反を主張立証しなければならない。単に労働上の事故が発生したということのみで、直ちに使用者の労働契約上の債務不履行と解することは、一段の論理的飛躍があるものといわざるをえない。 |