全 情 報

ID番号 04165
事件名 時間外深夜割増賃金請求事件
いわゆる事件名 朝日タクシー事件
争点
事案概要  組合との協定における賃金が時間外深夜割増賃金を含んだものとして協定され、協定書にその旨明記していた会社に対して、タクシー会社従業員が時間外深夜割増賃金を請求した事例。
参照法条 労働基準法37条2項
体系項目 賃金(民事) / 割増賃金 / 割増賃金の算定基礎・各種手当
裁判年月日 1970年2月9日
裁判所名 福岡地小倉支
裁判形式 判決
事件番号 昭和39年 (ワ) 865 
裁判結果 棄却
出典 タイムズ246号188頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔賃金-割増賃金-割増賃金の算定基礎・各種手当〕
 なるほど右逆算方式によれば、実際の勤務時間数の多少により毎月の金額に変動を生ずるけれども、計数上は残業、深夜割増賃金を除いた一時間当り賃金の算出は可能であり、従つて、使用者と被傭者双方が、右の方式によつて算出された金額をもつて基本給とする旨の合意をした場合には、これを目して違法と断ずることはできない。
 (中略)
 前記逆算方式により算出された、時間外および深夜割増賃金を除いた基本給相当部分の金額が、他の同種、同程度の企業における右割増賃金を除いた基本給と比較して、甚だしく低額で、著しく均衡を失しており、むしろ右のような他企業の割増賃金を除いた基本給と、被告会社における割増賃金を含む賃金とが大差ない金額である等特段の事情がある場合には、被告会社の時間外および深夜割増賃金を含むものとして定められた基本給は、実質的には、右割賃金を除いた純粋の基本給と解する余地がないでもないが、右のような事情の存在を認めるべき証拠はなく、かえつて、<証拠>によると、原告所属の労働時間と被告会社との間に協定された、時間外および深夜割増賃金を含む賃金は、他の一般タクシー業界に較べて低劣ではなく、むしろ実勤務時間に対する賃金としては、かなり良い方であつたものと認められるから、右のように解することはできない。