全 情 報

ID番号 04181
事件名 地位保全等仮処分申請事件
いわゆる事件名 大正製薬事件
争点
事案概要  製薬会社のセールスマンに対するルート・セールス違反および勤務時間中に喫茶店に入ったことを理由とする懲戒解雇の効力が争われた事例。
参照法条 労働基準法89条1項9号
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 業務命令拒否・違反
裁判年月日 1970年4月27日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 昭和42年 (ヨ) 2291 
裁判結果 棄却(控訴)
出典 時報617号96頁
審級関係 控訴審/01785/東京高/昭48.11. 8/昭和45年(ネ)1277号
評釈論文 秋田成就・労働判例103号69頁/川崎武夫・判例評論148号33頁
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-業務命令拒否・違反〕
 申請人のルート・セールス違反及び勤務時間中に喫茶店に入った非行が従業員就業規則に定める懲戒解雇事由に該当することは明らかであるが、同規則第五七条は、特に情状酌量の余地があるか又は改しゅんの情が明らかに認められる場合には懲戒処分を軽減できる旨を定めているのであるから、懲戒解雇事由がある場合においても、情状及び改しゅんの情をも考量のうえ、懲戒解雇以外の処分が相当であるにも拘らず、敢えて懲戒解雇処分に付したような場合には解雇権の濫用として、当該解雇は無効になるものと解すべきであるから、この点について考えるに、前記のとおり(二、(一)、1、(1))会社においては販売方法として独特のルート・セールス制を採用しており、外商員に対してこれを遵守するように厳重に注意すると共に、得意先に対しても何曜日に訪問するかを事前に連絡しているのである。そうすると、外商員としては定められた日に得意先を必ず訪問することを以て最低限度の義務としているものと考えられるから、ルート・セールス違反は前記規則第五六条第四号違反行為としては情状の重いものといわなければならない。