ID番号 | : | 04204 |
事件名 | : | 雇用関係存続確認等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 日本石油精製事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 関連会社への転籍命令につき、就業規則および労働協約には転籍を命じうる規定は存在せず、合意なしになされたもので無効とされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 |
体系項目 | : | 配転・出向・転籍・派遣 / 転籍 |
裁判年月日 | : | 1970年9月29日 |
裁判所名 | : | 横浜地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和41年 (ワ) 577 |
裁判結果 | : | 認容 |
出典 | : | 労働民例集21巻5号1287頁/時報614号32頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 後藤清・判例評論146号21頁 |
判決理由 | : | 〔配転・出向・転籍・派遣-転籍〕 ところで、一般に使用者は労働契約に基づき労働者をその指揮命令下に置いて労務に服させることができるが、この権限はあくまで労働契約に定められた範囲にとどめられるべきものであつて、これを超えて労働者の同意または労働協約の規定等の法律上の根拠なく、一方的に当該労働者を第三者の指揮命令下に移して労務に服させることはできないというべきところ、原告本人尋問の結果によると、原告が本件転籍命令を受けた際これを拒否したことが明らかであり、かつ、前記のとおり労働協約ないし就業規則には転籍を義務づける直接の規定はなく、しかも転勤が転籍をも意味するものと解することができない以上、本件転籍命令はその根拠がないというほかはない。 4 なお、被告会社は原告は事前に包括的に転籍に同意を与えている旨主張するので、この点について判断する。前掲乙第六号証の一ないし三、乙第七号証、原告本人尋問の結果によると、原告は昭和三五年四月一日入社に際し、被告会社の就業規則、給与規則その他の諸規程を遵守する旨約したこと、A会社と被告会社との関係その他長期にわたる勤務の間には両社間の人事交流が行われることは確実であることなどを説明した「新入社員のしおり」を読み、これを了承して入社したことが認められるけれども、右の程度では本件転籍命令につき同意があつたものということはできず、他に原告が本件転籍の具体的内容について事前に知らされ、事前にこれを承諾したことの認められる証拠はないから、被告会社の右主張は失当である。 三 したがつて、被告会社が原告の同意がないのに一方的にA会社へ転籍する旨命じた本件転籍命令はその他の点について判断するまでもなく、無効というほかはないから、被告会社と原告との間にはなお雇用契約関係が有効に存続するといわなければならない。 |