ID番号 | : | 04213 |
事件名 | : | 従業員地位保全仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 四国高速運輸事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | ユニオン・ショップ協定にもとづく解雇につき、企業外の組合に加入することを目的としており、同協定の効力は及ばず無効とされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / ユニオンショップ協定と解雇 |
裁判年月日 | : | 1970年12月22日 |
裁判所名 | : | 徳島地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和44年 (ヨ) 206 |
裁判結果 | : | 認容 |
出典 | : | 時報620号91頁/タイムズ257号206頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 砂山克彦・法学36巻4号78頁 |
判決理由 | : | 〔解雇-ユニオンショップ協定と解雇〕 右事実関係によれば、申請人らが企業内既存の参加人組合を脱退した動機目的は前記のような参加人組合に対する不満があったからであり、かゝる不満を解消するため企業外の既存労働組合すなわち全港湾沿岸南支部に加入したがためであることが認められる。 そこで、かゝる場合の組合脱退にもユニオンショップ協定の効力が及ぶかについて検討するに、元来ショップ協定は当該協定締結組合の労働運動を強め、もって使用者との力関係を有利に展開する機能をも有するものであり、その意味において、少くともその組合所属労働者の団結権保護(組織強制)の役割を果しているものであるから、ショップ協定の効力を徒らに過少評価し、骨抜きにすることは協定の趣旨を正解するものとは言えない。しかし、他方ひるがえって考えてみると、もともと労働者はすべて基本的人権としていかなる労働組合を結成し、またはいかなる既存組合に加入することの自由または権利をも享受するものであることもちろんであるから、前記協定解釈に当っては個々の労働者のかゝる権利、自由を尊重し、これをないがしろにしてはならないこともまた当然である(このように、ショップ協定は制度自体矛盾した契機を内在しているともいえる)。従って、ショップ協定当事者たる既存組合を脱退した者が、単に個人的に、または前記協定の趣旨に反するような特段の事由によって脱退する等正当な理由によらない脱退であれば格別、労働者としての信条や、既存組合の運営等に関し異見を有すること等の事由により、新組合を結成し(いわゆる組合の分裂現象の場合)、または、別の企業外既存組合(本件の場合)に参加することを直接の動機として脱退した如き場合は、もはや、右協定の効力は及ばないと解すべきである。前記事実によれば本件申請人らの参加人組合脱退の経緯は正に右の場合に該当すること明らかである(参加人組合提出の丙号各証、証人荒西一雄(第二回)の証言等によれば、もとより参加人組合とて何も組合員のための組合活動を怠っていたわけではなく、今も多数組合員の支持をえて健在であることがうかゞわれるけれども、そのことの故に前記判断を左右することはできない)。 そうすると、被申請人の申請人らに対するユニオンショップ協定に基く解雇は爾余の判断をするまでもなく無効である。 |