ID番号 | : | 04217 |
事件名 | : | 仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 古河郵便局事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 古河郵便局から杉戸郵便局への現業郵政職員に対する配置転換命令につき、効力停止の仮処分申請が認容された事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 |
体系項目 | : | 配転・出向・転籍・派遣 / 配転命令権の限界 |
裁判年月日 | : | 1970年12月25日 |
裁判所名 | : | 水戸地下妻支 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和44年 (ヨ) 24 |
裁判結果 | : | 認容(控訴) |
出典 | : | 労働民例集21巻6号1739頁/時報619号36頁/タイムズ256号108頁/訟務月報17巻3号427頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 高木紘一・法学35巻3号106頁/保原喜志夫・判例評論150号2頁 |
判決理由 | : | 〔配転・出向・転籍・派遣-配転命令権の限界〕 以上認定の事実によれば、被申請人には杉戸郵便局に郵便外務主事一名を補充する業務上の必要性があつたものではあるけれども、本件配転命令により、申請人は、通勤時間の著しい増大に伴う精神的肉体的疲労を蒙るほか、病弱の妻子を顧みる時間が短縮されることにより多大な不利益を蒙ることになる。のみならず、本件配転命令すなわち労働条件変更の申し入れは、申請人が予め表明しておいた現在の勤務地を絶対に離れたくないとの希望を一顧だにせず、本人はもとより直属課長の意見も徴さずに一方的に行なわれたものであり、これは、前述の如き東京郵政局の人事異動に関する誤つた考え方に起因するものと思われ、公正を欠くというほかはない。加えて、杉戸郵便局において新たに任命された他の二名の主事が他局における主任から昇任したのに対し、申請人のみが、主事のまま、しかも、職員数が前任局の半数以下で特定局から昇格したばかりの局へ配置換されたこと、さらに、組合活動家であると同時に事務に堪能な申請人が滞留郵便物の多い古河郵便局から外され、従来主任の地位にあつたものが昇任してその後任に当てられることについても、合理的理由を見出すことができない。これらの事情からみれば、申請人が労働条件変更の申入れを拒絶したことは何ら恣意にすぎるものではなく承諾拒否権の濫用にわたるものではないと解せられる。 以上の次第であるから、本件配転命令は、労働契約の範囲を越えた業務命令というほかはなく、申請人はこれに対して何らの義務を負担するものではないから、申請人は引き続き古河郵便局郵便課外務主事の地位にあるものというべきである。 |