ID番号 | : | 04226 |
事件名 | : | 労働契約関係存在確認請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 日野自動車事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 作業職種から事務職種への配転命令を拒否したことを理由とする養成工の解雇につきその効力が争われた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 |
体系項目 | : | 配転・出向・転籍・派遣 / 配転命令権の濫用 |
裁判年月日 | : | 1969年2月15日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和42年 (ワ) 9855 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労働民例集20巻1号142頁/時報565号79頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔配転・出向・転籍・派遣-配転命令権の濫用〕 被告会社が原告を工員として採用したものであることは、当事者間に争いのないところであるから、その雇傭契約における労働条件は、原告を作業職に従事する工員として取り扱う趣旨のものであつたといわなければならない。しかるに、被告会社は、原告に対し、事務職である人事課人事係に配置転換を命じたのであるから、それは正しく労働条件の変更に外ならないというべきである。従つて、労働条件の変更に関して特別の約束が存在しない以上、使用者がこれを変更しようとするときは、原則として労働者の承諾を得る必要があり、その承諾がない限り、使用者が一方的にこれを変更することは許されないものであることは明らかである。ところで、被告の全立証によつても、作業職種から事務職種への配転即ち労働条件の変更について、原告の承諾を要しないとする旨の被告会社と原告間の特別の約束が存在していたと肯認することのできない本件においては、原告が、被告会社の一方的な配転命令を拒否したからといつて、その拒否は、何等違法なものとはなり得ない。 とすると、配転命令に応じなかつたことを理由とする本件解雇は、原告に帰責せらるべきでない事由をもつてなされた解雇であつて、結局何等の理由のない解雇に外ならず、権利の濫用として無効なものと解するのが相当である。 |