ID番号 | : | 04241 |
事件名 | : | 従業員地位保全等仮処分申請事件 |
いわゆる事件名 | : | 中鉄バス事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | バスの運転中のバス転落事故などを理由に労働能力著しく劣悪であるとして解雇されたバス運転手が右解雇の効力を争った事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項3号 労働組合法16条 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / 解雇手続 / 同意・協議条項 |
裁判年月日 | : | 1969年4月21日 |
裁判所名 | : | 岡山地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 昭和44年 (ヨ) 10 |
裁判結果 | : | 認容 |
出典 | : | 時報564号79頁/タイムズ238号187頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔解雇-解雇手続-同意・協議条項〕 疎明によれば、労働協約九条は会社が解雇協議約款の適用を免れる場合として、前記六号のほか、(1)停年に達したとき(一号)、(2)本人の希望によるとき(二号)、(3)懲戒解雇に該当したとき(三号)、(4)休職期間が満了したとき(四号)、(5)組合の除名処分を受けたとき(五号)を定めていることが認められる。ところで、右各場合を通観してみると、一、二、四、五号はすべて被申請人の裁量の加わる余地のない極めて明白な客観的、形式的基準を有しており、また三号の場合には、特に会社および組合からそれぞれ選ばれた各五名の委員をもって構成される賞罰委員会の議を経た後社長がこれを行なう旨労働協約一〇条に定められていることが疎明により認められるのであって、結局いやしくも裁量の余地を含む人事権に対する組合の関与の程度は可成り広汎に承認されているといわなければならない。右の如く、会社が組合と協議することなく組合員を解雇できるのは、会社、組合間に解雇基準の適用をめぐって紛争を生じる余地の極めて少ない客観的、形式的条件を備えた場合に限定されている労働協約九条一号ないし五号の趣旨に照せば、右各号と併立的に規定されている同条六号に関する覚書の趣旨も、解雇基準たる労働能力劣悪に該当する旨の二回の注意が会社から該当者に対してなされることは、疾病などによりおよそ労働能力向上の期待可能性がなく、注意を与えるのは無意味であることが極めて明白である場合を除き同条六号の解雇をなすに当って欠かせない要件であると解するのが相当である。 |